2019年02月14日

Gibson / Fenderのメーカー推奨弦高

以前、最適な弦高について、という記事を書いたんですが

実際問題、作った奴が推奨してるのが一つの答えなわけで

ひとまず、出された料理を味変しないで食べてみよう

おいおい、その牛丼は紅しょうが丼になってねぇか?

まったくけしからんな

シェフの気持ちを分かってないよ



僕は牛肉が隠れるほどの七味丼が好きです。


ギブソン社 推奨の弦高



ギブソン社推奨って言っても、言わずもがなレスポールのことですよね。

現行で販売されているレスポールの推奨弦高は

1弦 12F 1.2mm
6弦 12F 2.0mm
※010-046 ライトゲージ時


こちらの値が推奨となっております。

但し、現行のギブソンレスポールのR(アール)の値は405Rとなっており、上記の弦高で問題ないのですが、ヴィンテージのレスポールは
305Rとなっているため、1弦は高くした方がいいでしょう。

ちなみに、山野楽器が輸入代理店だった時代の推奨弦高は

1弦 12F 1.5〜1.7mm
6弦 12F 2.0〜2.2mm


と、されていたため305Rのレスポールをお使いの方はこちらを参考にするといいと思います。

※アール(R)の値
現行レスポール : 405R
ヴィンテージレスポール : 305R



フェンダー社 推奨の弦高


こちらもフェンダーと言いつつストラトメインの話ですが、テレキャスやジャズマス等にも通じる話ですのでご参照をば

1弦〜6弦それぞれ
17F 4/64"(1.58mm)
※010-046 ライトゲージ時


こちらがフェンダー推奨の弦高となっております。

ただし、現行のストラトは指板のアールが254Rで、上記はその値ですが、ヴィンテージのストラトは184Rと相当にアールがきついです。

当時のメーカー推奨が約1.8mmとかだった気がします。

そうなるとギブソンもフェンダーも、ヴィンテージものの弦高が1弦2.0mm・6弦2.5mmでセッティングされるのもうなづけますね。

※アール(R)の値
現行ストラトキャスター : 254R
ヴィンテージストラトキャスター : 184R


まとめ


上記がメーカーが推奨してるセッティングなわけですが

当然、アールや弦のゲージ、チューニングによって変わるのでね

その辺の兼ね合いによって、更に突き詰めていくと良き



一応参考までに

アールが大きければ大きいほど、チョーキングで音詰まりが無くなるので弦高は下げられます

弦のゲージが太ければ張力が増すので、弦高は上がりますし
逆にゲージが細ければ弦高は下げられます

チューニングも半音下げにすると、張力が弱まるのでやっぱり弦高が下げられますね

そんなわけで、速弾き系のギタリストは09-42のゲージを使ったり、半音下げにしたりしますね。

例えばイングウェイは008-011-014-022-032-046という5,6弦のみレギュラーで、1〜4弦が細い上に半音下げだったりします。



メーカー推奨を目安に、自分のプレイスタイルの上調整していくといいかもしれません。

では、良い弦高ライフを



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2019年01月11日

AriaProU LS600 1977年 マツモク製 レスポールタイプ

アリアプロU LS600


先日購入した、Aria ProUの77年製レスポールのご紹介。
以前書いたマツモク工業という記事にてAria ProUについて触れてますので良かったらご覧ください。
というわけで言わずもがな、マツモク製のこいつ

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外観はとても良く出来たコピーモデルだと思います。
Gibson社と比べると、ややボディが小ぶりなような気もします。
総重量はほぼ4kg
ちなみにGibson社が推奨しているレスポールの重さも4kgです。
カタログによるとトラモクのメープルトップ&マホガニーバックらしいです。

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いわゆるパンケーキ構造のボディ
Gibson社は木材が手に入らず70年代苦肉の策で選んだ製造方法なのに、それをそのまま真似しちゃうところがジャパンビンテージ
ちなみにカタログではパンケーキ構造をラミネートボディと表現してて、なんかかっこよく言ってる。

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そしてヘッド
77年製ですので、本来Les Paulと書かれている部分に何も書いてませんが、のちにAria ProUではLeo Pardという文字が入りレオパードシリーズなるものもあります。

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ヘッド裏で、80年からはここにシリアルが入って年号を把握できるのですが、77年のものには入ってません。

さて、ではなぜ77年とわかるのかですが

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このピックアップを見てください。
ディマジオのようなポールピースのこいつ
Aria ProUで開発されたEXTRAシリーズのEXTRA-1というピックアップなのです。
また78年、79年のEXTRA-1はポールピースが一般的な芯のやつで、ディマジオの模倣してるEXTRA-1は77年だけ。

この頃Aria ProUでは同じ見た目のディマジオ SUPERUというやつを上位機種に付けてました。
ワンチャンSUPERUだったらLS600じゃなくてLS700だなぁと思いながらピックアップを見てみましたが

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残念、ディマジオではありませんでした。
というわけでやはり77年のLS600

ところで、ピックアップを取り外しますと、ネックジョイントに注目

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これはマツモクお手製の、セットネック+ネジ留めのディープジョイント。

ディープジョイントは賛否両論あって、ヒスコレくらいでしか最近では見かけないですね。
Gibson社はサスティンや剛性アップがディープジョイントで生まれると言っていますが、個人的には剛性アップは認めるけどもサスティンはピンとこないですね。

そして、このビス留めはおそらく更なる剛性・耐久性を加味してのこれでもか!というマツモクのオリジナル技だと思いますが、完全なコピーを求める方にはマイナスかもしれませんね。

ただ、世界的にのちに有名になるAria ProUのPEシリーズもこのジョイント方法であることを忘れてはならない。
ほんと丈夫なので、実は理に適っていて、拘らなければメリットも大きいと感じでいます。

体感ではネックの鳴りがボディに振動してないなと感じてしまいますがね。。。

さて、最後に回路部分

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Aria ProUのカタログにおいて、P.C.ボードと呼ばれるオリジナル回路(サーキット)

そのままカタログの宣伝文句を引用すると
PROUだけのP.C.ボード
V.T.回路は、P.C.ボードでワイヤリングされ、シールド効果は確実になり、ショート・断線などのアクシデントを排除した安全設計で、PROU独自の技術です。
とのことですが、なんのこっちゃ

シールド効果ってのはノイズ出ない対策ってことですね。
つまり、ノイズもショートも断線もないぞってことでしょう。

でも、結局このオリジナル回路()笑はのちに使われなくなっちゃうので、つまりはそういうことでしょう。

実際に上記のようなメリットが見込めたとしても、一部壊れたら全とっかえする必要があるし、オリジナル回路なんてものは聞こえはいいけどリペアマンがお手上げの場合があるのでね、なんなら今壊れたらAria ProUの工場にも在庫がないでしょう。

そういう意味でもこの回路に理点を見いだせないですね。

ただ、ネックジョイントの方法といい、回路の設計といい、より現場向きにマツモクが開発を頑張ったんだなって歴史を感じれて嬉しいですね。
長いツアーに出る際の耐久性を考えて作ったんだなと思います。

というわけで、これからこいつをどんどん改造していこうと思ってます。
状態も良いのでいじっちゃうのは勿体ない気もするんですけどね。

改造したらまたアップします。
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2018年12月25日

ボルトオンネックの接合部について

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愛知の海苔が好きなんですよね。

いきなりなんのこっちゃってお思いのあなた
私もいきなり何言ってるねんと驚いてます。

味にガッツがあるんですよ。
対して有明の海苔は高品質できめ細かくて、レベルは高いのですが淡白というか素朴というか。

これなんかに似てるなぁって思って
よくよく考えたら、MADE IN USAのギターとMADE IN JAPANのギターみたいだなと。

日本のギターって精巧に作られていて、非常に良く出来ているんですけど、お利口さんというか内申点4!って感じの意識高杉出木杉君。
この技術は凄いことなんですけどね。
個体差もほぼ生みませんし。

対して、USA製は粗雑なところがあるくせにダイナミックに鳴りやがる。
まじ愛知の海苔。美味い。

残念なのはお値段同じなのに個体差があるからだいぶ博打。沼。
ノーカン!ノーカン!

今回はそこを踏まえつつボルトオンネックの接合部について。
ぶっちゃけ定説と外れた話が多いので、信じるか信じないかはあなた次第(どーーーん!)

USA製のボルトオンネックあるある


ボルトオンネックというのは説明するまでもないですが、Fender社のストラトのネックのように取り外し可能なビス留めされているネックですよね。
デタッチャブルネックとも呼ばれています。

それでFender USAのストラト、カスタムショップも含めて、この接合部が雑なんですよ。
やれビスが曲がってるだとか、ネックエンドとボディの隙間広いじゃねえかとか
おまけに弦高調整のためか、ネックポケットに紙なんかを挟んでたりすることすらある。

みっちりネックとボディが締まって、一つの木のように密着している方が音が良さそうじゃないですか?
なのに、向こうのギターはその造りでもダイナミックに鳴りやがる。

まじ真面目が損する現代社会怖い。
コツコツやっていれば、誰かが見てくてくれる、とは一体なんだったのか。

学生時代の不良が、意外と大成しちゃう。

ってことで精巧であることが、必ずしも正解じゃないんですよね。

振動伝達率


張られている弦の長さの大半は、ネックでを占めている。

開放弦に至っては弦の振動の中心は、12F付近の振動が一番大きいのだ。
つまり弦振動はその地点が一番大きく、一番音がデカい。

あたかも弦の音が一番大きいのがピックアップの上であると錯覚しそうだが、実はそうではない。

さて、そのネックの振動をどのようににボディに伝え、伝わった音がピックアップまで辿りつくかということが重要である。

ここでギタリストであれば触ったことがあるであろう音叉を思い出してほしい。
「キーーーン」って鳴らした時に、柄の丸い部分を平らなところ(机とか)へ当てると音がデカくなるでしょ?

あれの丸ってちゃんと意味があって、接する部分が「点」になるんですよね。

物質から物質へ振動を上手に伝えたい時は、実は「面」より「点」の方が効率的に鳴るのです。
糸電話なんかもそうでしょ?
糸の点から点へ伝わっているわけ。

振動ってものはエネルギーだから、発生した途端すぐに逃げ場を欲しがるのね。
それが面だと、拡散してすぐに逃げちゃうわけ。

んで、逃げちゃうことが悪い事ではなくて重要なのは逃がし方で、一気に逃がすか徐々に逃がすかで、膨らむ周波数が変わってくるんですよね。

具体的につまりどういうことだってばよ?


ギタリストの三宅康介氏が、自身が出している「ストラトのポテンシャルを200%引き出す極意」という教則DVDにて、好みのジョイントのビスの締め具合はボディ側の2つを締め、ネック側の2つを緩めるとおっしゃっていました。

また、余談ですが、元ジュディマリのTAKUYAさんもフレーズでサスティンを稼ぐ時、ピッキングしたあとピックをボディに当てて自分の体も使って振動させるテクニックを以前教則アプリにて解説してらっしゃいました。
ここでもピックを使って「点」ですね。

上の例をざっくり解析すると、「面」は表面積が大きい分一番エネルギーの大きい低音を逃がそうとします。その分逃げる速度が早いです。
対して、「点」においては音叉のように逃げる速度が遅く、サスティンを稼ぎ音がクリアになります。その分低域の伝わり方にロストが発生し、やりすぎると音が痩せます。

つまり、そのへんの長所と短所を組み合わせたバランスが大事で、MADE IN USAのダイナミックおじさんは意図的なのか偶然の産物なのかは知りませんが、うまい事鳴っているんだなと思います。

日本人の精巧な技術は素晴らしく、それは世界一の丁寧さと言っても過言ではないのですが、如何せん科学的根拠のないものが迷信じみて伝わっている部分もあるんですよね。

職人の修行年数で、日本人はその板前の腕を判断しがちですが、10年皿洗ってたりしますからね。
場合によっては1年目と11年目の技術力は、年数ほどの差はなかったりします。
もはやイメージの話ですよね。

それと似たような話で、巷では、接合部が精巧であればあるほど音が良いという話も聞きますが、個人的にはイメージ先行してるんじゃないかな?って思ってます。

という理系卒の人間のお話でした(小並
posted by mugeek at 18:00 | Comment(0) | メンテナンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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