以前『歪みエフェクターをもっと上手に使いこなす』という記事で、1台目の歪みと2台目の歪みの合わせ技の理屈は説明しましたが、前段ブースターは基本的には同じ原理。
ってことで、じゃあ後段ブースターの利点で何よって話。
ソロのボリュームアップ?
いやそりゃ分かるけど、そんな当たり前のことは書きたくない(ひねくれ者)
そんなことより、やたらプロのペダルボードの歪みセクションの最終段にEP boosterとか置いてねえか?
どういうことや?
って思っちゃった方に説明したい。
そもそもエフェクターのつなぎ方の話
エフェクターって一番忘れちゃいけないのが、最後にかけたエフェクターが一番顕著に効きが分かる、ってところ。
2台歪み並べた場合、機器の歪みの質感が現れるのは2台目がメイン。
1台目の歪みエフェクターの歪み感は、2台目通した時点で別の質感に変わっちゃいます。
じゃあ2台目だけでいいじゃんって思いがちだけど、これがまじ大事で
クリームシチュー作ったら、最後にクリームシチューのルー入れるっしょ。
水だけでもまぁ食べれるけど、牛乳も入れたほうが美味しいじゃん。
ベースのスープをしっかり仕込む為にも、やっぱり過程が大事で合わさって一つの料理が完成するわけ。
そんな感じで、エフェクターの音作りは足し算であり掛け算なんすよね。
後段ブースターはプリアンプと思え
さて、ここでようやく本題。
後段ブースターなんのために繋ぐんよって
もうブースターって呼ぶからややこしい
もはやプリアンプやEQって言っちゃった方が分かりやすい。
上記でエフェクターは最終段に繋いだものの影響を顕著に受けるということから、顕著に与えたいからブースターをかませるわけです。
まずは分かりやすくみんな大好きEP boosterを引き合いに説明。
EP booster
EPは60年代〜70年代に流行ったエコープレックスっていうテープエコーのプリアンプのバッファ部をシミュレートしてるんですよね。
このエコープレックスは、それこそ当時
「なんか通すだけで音がよくなるぞ??」
「輪郭出てくるし音が太くなるぞ!?」
って感じで、むしろエコープレックスはテープエコーなのにプリアンプとして流行った経緯があんすよね。
実際のところは、耳につく高域や暴れる低音なんかをマイルドにするトリートメント効果がエコープレックスのプリアンプにあったんですね。
んで、それをシミュレートしてボリューム機能つけてブースターとして発売しましたってのがEP boosterなわけ。
じゃあプリアンプじゃん、EQついてないプリアンプじゃん。
と、お思いのあなた。
そのとおり全くそのとおり。
だって、実際EPの使用者はツマミゼロで回さないで通すだけで使ってる人が多い。
みんなプリアンプとして質感を足したいんですねぇ。
歪みセクションで作った音をソースとしてEPに入力し、パンプアップして最後の締めに使う感じ。
ブースターの種類
質感足すって言っても、じゃあどんなブースターを使ったらいいのか。
ブースターって言っても結構種類がありまして、歪みエフェクターでブースター向きの物があったり、ブースターって実はめっちゃ曖昧な定義。
おかげで混乱すること請け合い。
そんな中でも
・クリーンブースター
・EQ系ブースター
・プリアンプ系ブースター
・ゲインブースター(オーバードライブ)
なんかに大別出来て、これらを狙ったサウンドによって使い分けることを基本としています。
クリーンブースター
これが所謂、ソロ時にボリュームアップとして使うのに適している後段ブースター。
または、マスターボリュームとしても使用できます。
あるいはアンプの機種によっては、音量を突っ込んでアンプの歪みを増加するなんていう使い方も可能。
個人的には後段ブースターとして使うことはないし、本記事にはあんまり関係ないブースター。
基本的にはブースターとして販売されているものは、クリーンブースターとして使用出来ます。
EQ系ブースター
本記事で説明しているブースターみたいな使い方が出来るのが、まず一つがこれ。
EQ系ブースターにはトレブルブースターとミッドブースターなんかがあって、まさしくEQ。
EQと何が違うって、よりギターらしいポイントをプッシュしてくれるんですよね。
トレブルブースターはクラプトンやQUEENのブライアン・メイなんかも使用してて、非常にロックな音で派手になります。
良い具合にギターの倍音に効くんですよね。
ミッドブースターは、非常にギターらしい芯のあるモッチリとした質感が足されます。
特に良い感じのパワーコードなんかはミッドが大事。
ちなみにミックスなんかだと、EQは±3dBの範囲内で補正するんですけど、やりすぎると位相が崩れたり原音が汚れるんですよね。
なので、このブースターの位置にEQを置くと、上手にやらないと加工された音というか、デジタル色の強い音になったりして。こういったEQ系ブースターの方が楽なんですよね。
逆を言えば、上手に使えればEQでも勿論良いです。
プリアンプ系ブースター
上記で始めに例としてあげたEP boosterがまさしくこれ。
この場合は余裕でプリアンプでしかない、まさしくプリアンプ。
そもそもプリアンプってものが、アンプっていうから分かりづらいんですが音質を決めるためのアンプなんすよね。
古くはNeveの1073なんかが有名ですが、プリアンプで音を演算処理するトランスなんかで音質に変化が生まれるんすよね。
それこそ、同じお米を炊飯器で炊くか、土鍋で炊くか、石窯で炊くか、で味が変わるじゃないすか。
別にどれが正しい炊き方とかはなくて、味なんて好みじゃないすか。
そんな感じでプリアンプなんて選択すればいいんですよね。
プリアンプは概念(何
まぁそんなわけでブースターやらエフェクターにはトランジスタやオペアンプなんかがあって、信号を演算するわけですが、その演算で音質が変わるんですよ。
その音質変化の質感を足したくて、プリアンプ系ブースターを挟むわけですね。
ちなみに通すだけで音が変わるとか言われるTS808やケンタウロスなんかはこういったことです。
なので、別にブースターじゃなくてガチのプリアンプでもいいです。
まじ最終的に米どうやって炊きたいよ?って話。
ゲインブースター
これは今回関係ないんですが、ゲインブースターってのは結果的に歪みを増すだけであって、ゲインブースター単体で歪みを増すわけではありません。
アンプに大音量で突っ込んで、アンプのGAINを更にブーストするという原理ですね。
メタルやハードコアなんかの、アンプで歪みを作っている方々が使用していたりします。
人気があるのはチューブスクリーマーはBOSSのSD-1なんかですかね。
オーバードライブペダルで、例えばTS-9だとギュッとレンジが狭くなって良い具合のレンジになったり、SD-1で良い具合にシャリっとさせたりって使い方。
アンプ単体だとどうしてもレンジが広すぎて低音が暴れるって方が制御するための使用法。
結論=ブースターって名前がむり
もうね、ブースターとかバッファとかプリアンプとか名称変えてくんないすかね。
どっちかっていうと化粧。
それこそエコープレックスで言うような、トリートメント系エフェクターみたいな名前に変えてくんないすかね。
なんにせよ、後段ブースターの使い方でソロ音量上げ以外の使用法として、プリアンプ的に音質を変えるという使い方の紹介でした。
がっつり分かりやすく効果が分かるってより、もう少し玄人好みかな。
まずは好きな音を探せ!