2019年09月21日

ストラトのペグ交換〜取り付け編〜

前回書いた『ストラトのペグ交換〜穴埋め編〜』の続きです。

前のペグで空いていた穴を埋めて下準備が終わっているところからのスタート。

なお、同タイプのペグ交換をするだけならこの記事はなんの参考にもならないことは言うまでもない。

ブッシュ

穴径

さて、測らなくてもだいたいペグなんて径がロトマチックの「10mm」か、クルーソンの「8.8mm」なんすけど、それこそバッカスの入門者用とかインドネシア産のスクワイヤーとかだと径の太さバラバラなんすよね。

ってことで念のため計測。

IMG_0103.JPG
さすが日本人、古くとも正確で「10mm」ジャストを示す模様。

今回、取り付けたいのはクルーソンタイプなので、当然このままだとゆるゆるガバガバになってしまう。

一応、GOTOH社製の商品ってオフィシャルのプロダクトページに細かい径が書いてあって、僕が取り付けたいSD91のブッシュ径は「8.8mm」。

実際に計ってみると

IMG_0092.JPG
ノギスで測ると「8.7mm」を示しておりますが、まぁ計り方による誤差ですかね。

こんな時は専用のコンバージョンブッシュを用意する必要があります。

今回用意したのがこちら

IMG_0091.JPG

クルーソン社が出しているブッシュです。

外径10.5mmの内径6.35mmのタイプ。

ちょっと外径太いのにしたのは、実は穴全部計ったら一つ10.3mmの穴とかもあったので念のためです。
基本的には10mmや9.98mmの物を用意した方が後が楽です。

取り付け

とにかくトントン叩いてハメていく原始的な方法で取り付けます。

注意事項としては、苦情に気をつけましょう。(経験談)

IMG_0105.JPG

この時使うのは、鉄製ハンマーじゃなくて叩く部分が樹脂で出来ているやつですね。
鉄製だと傷ついてしまうので。

と、思いきや10mmに10.5mmをハメるのは中々しんどいんで鉄製もちょっと使いました・・・。
まぁめっちゃガッチリハマったんで結果オーライで。

IMG_0106.JPG

全部ハメた状態がこちら。
どーでもいいけど、なんかこの状態のヘッドのネックたまに売ってますよね。

ってことでこっからペグを取り付けていきます。

ペグ

設置

ヘッドの裏側からペグをひとまずハメます。

IMG_0108.JPG

とりあえず設置して、ビスも何もつけてない状態です。
その状態で定規などで揃えて、穴を空ける位置にペンでしるしをつけていきます。

この時、ヘッド表を机に当てちゃうとペグが浮いちゃうので、フィンガーボードとヘッドの頂点になんでもいいんで挟んで机に置いた方がいいっす。

IMG_0109.JPG

この黒い点が、油性ペンでつけたしるしです。

穴あけ&ビス留め

黒い点に対して千枚通しで穴をゴリゴリ開けていきます。

IMG_0110.JPG

とりあえず軽くでやっても結構穴が開くんですが、千枚通しの柄に対してハンマーでトントン当てるとさらに掘れます。

IMG_0115.JPG

掘った穴に対してペグを取り付ける前に、ビスを回していってネジ穴をまず開けます。
開けきったところでネジを再度外します。

ペグ取り付け

ペグを改めて取り付けて、既に開けているビス穴に対しビスをハメていきます。

IMG_0131.JPG

以上で完成です。

どうでしょうか?

ちょっと曲がった感も無きにしもあらずですが中々綺麗に出来ました。

これロトマチック径からクルーソンの交換なんで、ブッシュでどうにか出来ますが、逆は穴の拡張が必要なんでもっと大変です。

ぶっちゃけ最初から、希望スペックのギター買えってことだな。

チャンチャン

posted by mugeek at 00:21 | Comment(0) | リペア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月19日

ストラトのペグ交換〜穴埋め編〜

ペグ交換するのはこいつ


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以前書いた『Greco SE500 1979年 フジゲン製 ストラトキャスタータイプ SUPEER SOUNDS』の記事のギターのペグがショボいんすよ。

しかも古いオリジナルタイプのペグなのでこれまた厄介。

穴開け無しで装着出来るペグもあるにはあるんですが、一応50年代の模倣ってことなので折角ならクルーソンタイプのペグを付けたいなぁと思いまして、用意したペグはこいつ。

20190919_182839.jpg

みんな大好きGOTOH社のSD91-05M-L6-Nickelですね。
マグナムロックじゃなくて普通のやつなのでそんな高くないやつです。

まずは取り外し

表から六角をスパナで外した状態がこちら

20190919_185755.jpg

穴が一個のタイプなんですねぇ

ちなみにグレコ製のペグの裏側はこうなってます。

20190919_185740.jpg

ひとつ穴で支えてるタイプになります。

穴埋め

さて、穴埋めに今回使うのはこの3つ。

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竹串とみんな大好きタイトボンドは言わずもがな、僕はスポイトを使います。
タイトボンドは水溶性なので洗えば綺麗になるんですよね。

ってことで穴にスポイトでタイトボンドを垂らし、竹串をブッ刺していきます。

ちなみにネジ穴とかであれば、爪楊枝とかで埋めましょう。

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タイトボンドの乾燥時間は30〜60分とされていますので、しばしyoutubeで動画見て過ごしましょう。

30分後

切断

乾いたところでニッパーで切断。

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切断しただけだとまだ微妙に飛び出てるので、カッターで削れる範囲は削りつつあとはヤスリでゴリゴリ。
その際、ネック表面を傷つけないようにマスキングテープを一度貼ります。
んで、竹串のところが出っ張るので平坦になるようにゴリゴリ。

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最終的にこんな感じでヘッドの表面と竹串が平らになります。
20190919_210713.jpg

剥がすとだいたい平らになってるの分かりますかね?

これでペグを取り付ける為の下準備が完了。

作業時間にして1時間くらいかな?
あ、あとネック本体はボディから取り外して作業してます。

ってことで次回いよいよペグ取り付け。

→→後編「ストラトのペグ交換〜取り付け編〜
posted by mugeek at 20:20 | Comment(0) | リペア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月12日

YAMAHA FG-122 1976年 オレンジラベル

FGシリーズ


ヤマハのFGシリーズは1966年に誕生した、国産第一号のフォークギター。
まず最初に、FG-180とF-150の2機種でスタートしました。

MartinのD-28の形であるドレッドノートを、ヤマハはそれをジャンボと呼び
またクラプトンの使用で有名なMartin 000-42の形であるトリプルオーを、ヤマハはフォークと呼んでいました。

FG-180がジャンボタイプ、FG-150がフォークタイプとして分類されてました。
※のちの正確な表記は、FG-180JやFG-150Fになります。

当時の所謂、ジャパンビンテージと呼ばれるFGシリーズはマニアには昔から人気なんすよね。
それこそジャパンビンテージっていう名前が出てくる前から人気。
そういった意味じゃ、時代に流されず評価されていることでその質が分かると思います。

勿論、物によるんですけど凄い鳴るんですよね。

有名なのはやっぱFG-180で、ゆずの岩沢さんが使っていたことで有名ですね。
デビュー当時の音源なんかではバリバリ使ってたみたいなんで、気になる方は音源をどうぞ。

んで、時は進み1970年代のアコースティック市場ってジャンボとフォークだと、フォークの方を安くするのが主流だったんすよね。
しかーし、ヤマハさんこのFG-122を出す頃には同価格で2タイプを出してました。
そこで、値段を変えない代わりに廉価版を出しました。

それが、このFG-122

※廉価版はフォークのみ

YAMAHA FG-122 オレンジラベル


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このギターは斉藤和義さんが使用していたことで、当時のヤマハの廉価版ギターなのにも関わらず再評価され貴重な一本となってます。

販売期間は1975年〜1978年のギター。
(※1975年に製造はされてても、発売は1976年からなはず・・・)
シリアルは「60802」で、サウンドホールのネックエンドらへんに書いてます。

1973年から1984年のシリアルは5桁シリアルで
頭文字が西暦+日付で読みます。
ってことで、このギターは1976年8月2日に製造されたギターですね。

斉藤和義さんのFG-122のシリアルナンバーは「60725」だそうで、1976年7月25日生まれの子ですね。
お、僕のと1週間くらいしか変わらない!

ヘッド表
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ヘッド裏
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FG-152以上からはロトマチックなのに対し、FG-122はオープンタイプのペグで、ここでコストカットしてるのが分かります。

バック
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この裏側の木材も、サイドもトップもFG-152と同じ木材なんですよね。
トップにいたってはFG-402まで使われている木材。

ここでこのギターの詳細スペックを見ていただくと
specボディ:フォーク
スケール:636mm
トップ:エゾ松合板
サイド・バック:アフリカン・マホガニー合板
ネック:ナトー
フィンガーボード:プヒンガ
ブリッジ:プヒンガ
木材で唯一違うのが指板とブリッジのプヒンガ。
あちらはパリサンドルって木材を使ってます。

こことペグで¥3,000円分のコストカットしているんですね。
しかし言うてそこだけなので、値段にしては異常なほど高品質。

ラベルの話

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ヤマハのアコギのみんな大好きラベル。
このギターはオレンジラベル。

1976年のヤマハのラインナップは、新たに6価格帯のギターを発売。
全てオレンジラベル。

ちょっとした転換期で、ジャンボという名称をやめてウエスタンと呼ぶようになりました。
FG-150JやFG-150Fなどの末尾で使われていたアルファベットも廃止し、末尾の数字「1」がウエスタン、「2」がフォークを表すようになる。

FG-151/152,201/202,251/252,301/302,351/352,401/402
となり、¥15,000円から¥5,000円刻みで計12機種が発売されました。

なので、FG-122の定価は¥12,200円・・・と思いきや、¥12,000円なんすよね。

20190912_130033.jpg

廉価版で¥12,000円の価格帯のフォークタイプであるからFG-122。

なお、冒頭でも書きましたが、ウエスタンのFG-151とフォークのFG-152でボディシェイプが違うもので値段が変わらない。
本来であれば市場においてフォークタイプの方が安く販売されるが、ヤマハは同価格2機種での販売戦略だったので、ならいっそのこと新しく安いフォークギターを出しちゃおうってことで生まれたのが、¥12,000円価格帯の廉価版。

ちなみに¥12,000円価格帯でFG-120というものがあるが、それもFG-120Fというフォークタイプ。
FG-120Fは名前から分かるとおり、1976年の転換前の機種で黒ラベル。
黒ラベルってことで1975年のものになります。

ちなみにFG-120Fのスペックは
specトップ:スプルース
サイド・バック:アガチス
ネック:ナトー
らしく、FG-122とは別物であることが分かります。

最後に

古いFGシリーズは状態が良ければ恐ろしいほど鳴ります。

なんか胡散臭いしダサいから嫌なんだけど、いわゆる爆鳴りってやつです。

さらにこのFG-122は、1976年から2019年という発売から43年経っているにも関わらずネックがピンピンしています。
この記事書くにあたり、ちょっとロッドとか回したんですが、今弦高が6弦2mm・1弦1.8mmで低めの調整が可能となっています。

普通43年経ったら、余裕で弦高3mmとかいきますよ。

そういった意味でもめちゃくちゃ弾きやすくておすすめです。

どっかで触れる機会があったらぜひぜひ。
posted by mugeek at 18:33 | Comment(0) | ジャパンビンテージ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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