2019年10月16日

本家公認マーシャル博物館

ジミヘンも愛したアンプ


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2019年10月14日の日本経済新聞の朝刊を見ていたら面白い記事を発見。

太字で表題「ジミヘンの愛したアンプ」
と書いてあるではないか。

著者はマーシャル収集家であり、マーシャル博物館館長の竹谷和彦さん。
僕は読むまで存じあげなかったのですが、彼の博物館にプロも沢山来訪し、どうやらその筋では著名な方の様子。

どの筋か知るに足る文面を新聞より抜粋

65年製の大音量アンプ「JTM45/100」の復刻版を2000年代につくる際、元モデルが社内になく私の収集品を参照にきたことがあった。

なんとも面白いのが本家マーシャル社が充てにする筋。
まるでジムマーシャルの次はこいつを頼れと言わんばかり。

僕はこういった一人のオタクの好奇心がやがて身を結び、本家に関わる程に侵食していくエピソードが好きである。

Fenderが日本進出を考えていたときに、当時スーパーコピーシリーズを作っていたフジゲンに白羽の矢が立ったように。

本家Fenderの工場が火災にあった間、Fender USAの制作をフジゲンが請け負っていたように。

オリジナルがあって初めて成立し、2次発生的なのは間違いないのだが、やはり文化において模倣と分析はとても大事である。

※詳しく知りたい方はこちら(富士弦楽器製造)

温故知新とあるように、古きを学び新しきを創造することは何をする上でも重要。

だからこそ俄然僕は竹谷さんに興味が湧いた。

また勝手にやっているわけでなく

海外の楽器店に「これを探している」と手紙を送るなどしてコツコツ集めてきた。ジム・マーシャルにも90年代半ばに手紙を書いた。「マーシャルはロックの歴史そのもの。ミュージアムを開きたい」。そうしたら何と本人から返信があった。
来日の折に話す機会ももらって「面白いアイディアだ。ぜひ、やりなさい」と背中を押してくれた。

ジムマーシャル公認というのが驚きだ。


さて、新聞記事において面白いエピソードがあったのでついでに紹介したい。

米フェンダー社を愛用していたジミヘンは、66年のロンドンのライブで初めて使った。しぶしぶだったらしいが、音を出すと顔色が変わる。そして公演後、開口一番に「ジム・マーシャルに会わせてよ!」と叫んだという。そしてジミヘンはマーシャルの伝道師になった。

なるほど。
こうやって英国産のアンプが一世を風靡したんだなと納得。

竹谷さんの最初のマーシャルを購入した動機はジミヘンの音を出す為だったらしい。

ジミヘンを愛し、マーシャルを愛し、気付けばマーシャル公認の博物館を建てる。
心が震えるようなストーリーだ。

そんな竹谷さんのマーシャル博物館はどこにあるかと言うと、山口県の田布施町にある。

防音室で実際に音を出すことも出来るようで僕も是非行ってみたい。

文化というのは誰にも必要とされないと、どんどん衰退していくものである。

CDを買わないとアーティストが解散するのが免れないように。

だからこそ、少しでも、ほんの少しでも貢献出来ないかと筆を取る我。
実際はスマホで書いてますけどね!!

興味のある方は是非本家オフィシャルを覗いてみてほしい。

↓↓↓
Marshall Museum Japan

引用元:日本経済新聞 2019年(令和元年)10月14日(月曜日) 文化32
posted by mugeek at 18:23 | Comment(0) | アンプ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月28日

ジャズマスターとジャガーをこれから買いたい方へ伝えたい弦落ち問題

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弦落ち


まず最初に伝えたい。

そこのカートコバーン好きな君。
田淵ひさ子に憧れて透明な少女になりたい君。

ジャガーとジャズマスターは弦落ちするぞ。
必ずするぞ。

弦落ちってのは、いわゆるサドルからズレたり、1弦がフレットから落ちたりするアレですね。
その結果音が途切れる。

ジャガーとジャズマスターのサドルはネジ頭のないネジみたいなやつで、弦が乗る専用の溝があるわけでなくネジに乗っかってるだけなのでズレやすいんすよね。
特にジャガーはショートスケールなんでもう酷い。
テンションがゆるいからね。

弦落ちはまともに演奏なんて出来ないレベルなので、普通は対策をする。
それかもうジャガーとジャズマスターは使わない。

この選択肢しかない。

でも君は買いたいらしい。

だから買う前に色々把握しとこう。

そもそも設計ミス?


1958年ジャズマスター発売

以前ブリッジミュートについての記事でも触れたんすけど、Fender社がストラトを最初にリリースした1954年時点では、弦のゲージが13-54のゲージだったんすよね。

んで、ジャズマスターが発売されたのも1958年でまだまだ13-54のゲージだったんすよね。
だから張力がバリッバリあるので、サドルがただのネジでも全然抑えこめたんすよね。

その後ジャガーが発売されたのが1962年で、その時代でもまだ13-54のゲージ。
ようやくライトゲージが誕生したのが1968年。
ただし、そのライトゲージも12-50というゲージなんすよね。

ソリッドギターというものが誕生して約70年で実は歴史が浅くて、50年前ですらまだそんなゲージ。
そんななかで音を歪ませたり、そこからロックが生まれたり、BPMが上がったり、メタルが生まれて速弾きが生まれたり、でようやく今のゲージが誕生するわけ。

てか未だに新たなゲージ発売されるしね。

ってことで、ジャガーやジャズマスターの弦落ちって割と現代の音楽のジャンルが発展したことによって生まれた現代病。

弦落ち対策


太い弦を張れ

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ってことで、弦落ちしちゃうなら本来のゲージ張っちゃえばいいじゃん。

13-54あるいは12-50張っちゃおう。

当時ジャズマン達のエレキギターはレスポール使用者が多かったんですよね。
それに対抗して誕生したのがジャズマスター。

よし、ジャズやろう。

え?違う?

バズストップバー

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ジャズやんない?しゃーないロックやるか。

弦が細くなっちゃって張力が足りないなら足してやればいい。

ブリッジからサドルに向かう弦に角度を付けることで張力を足すのがバズストップバー。

これによって太い弦と同じような張力が発生し、サドルを抑えつけて弦落ちを防ぐって仕様。

ちなみに米津玄師さんが使ってるジャズマスターはINORANさんのシグネチャーモデルで、販売時から元々バズストップバーで張力を稼いでます。

音の変化としてはややブライトになるのと、演奏性としてもテンションがあがるので若干弾き難くなります。

ムスタング用ブリッジ(サドル)

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溝がないなら作ってやればいいじゃない。

ってことで、一番対策としてやってる人が多いのがこれ。
ムスタング用ブリッジに替える。

ブリッジって言ってるけど、何もブリッジごと変えなくてOKです。
サドルだけ変えれば大丈夫。

安価なのはバズストップバーなんですが、やっぱり演奏性と音が変わるのでこの変更を好む人が多いです。
既にこの変更がされた状態で販売されてるギターも多いです。

ただ、ジャガーに関してはショートスケール(610mm)なのでジャズマスターのレギュラースケール(648mm)よりそもそもテンションが低いんですよね。
なのでジャガーは更にバズストップバーも合わせてカスタマイズしてもいいかもしれません。

まとめ

ほかにもカートコバーンみたいにレスポール用のブリッジ穴開けてとりつけるとか、マスタリーブリッジってものを取り付けるとあるんですけど、結構敷居が高いので中々手を出しづらい。

正直、太い弦を張れ!とかはふざけましたすんません。

バスストップバーとムスタングサドルが容易に出来る弦落ち対策です。
とりあえずサドル変えてみて、まだ足んねぇなって思ったらバズストップバーも取り付けるとか、またはその逆の手順で組み合わせていくのが吉。

あとはもう自分の好きなアーティストの対策を見て、真似しちゃえばいいですよ。
posted by mugeek at 00:51 | Comment(0) | メンテナンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月21日

ストラトのペグ交換〜取り付け編〜

前回書いた『ストラトのペグ交換〜穴埋め編〜』の続きです。

前のペグで空いていた穴を埋めて下準備が終わっているところからのスタート。

なお、同タイプのペグ交換をするだけならこの記事はなんの参考にもならないことは言うまでもない。

ブッシュ

穴径

さて、測らなくてもだいたいペグなんて径がロトマチックの「10mm」か、クルーソンの「8.8mm」なんすけど、それこそバッカスの入門者用とかインドネシア産のスクワイヤーとかだと径の太さバラバラなんすよね。

ってことで念のため計測。

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さすが日本人、古くとも正確で「10mm」ジャストを示す模様。

今回、取り付けたいのはクルーソンタイプなので、当然このままだとゆるゆるガバガバになってしまう。

一応、GOTOH社製の商品ってオフィシャルのプロダクトページに細かい径が書いてあって、僕が取り付けたいSD91のブッシュ径は「8.8mm」。

実際に計ってみると

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ノギスで測ると「8.7mm」を示しておりますが、まぁ計り方による誤差ですかね。

こんな時は専用のコンバージョンブッシュを用意する必要があります。

今回用意したのがこちら

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クルーソン社が出しているブッシュです。

外径10.5mmの内径6.35mmのタイプ。

ちょっと外径太いのにしたのは、実は穴全部計ったら一つ10.3mmの穴とかもあったので念のためです。
基本的には10mmや9.98mmの物を用意した方が後が楽です。

取り付け

とにかくトントン叩いてハメていく原始的な方法で取り付けます。

注意事項としては、苦情に気をつけましょう。(経験談)

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この時使うのは、鉄製ハンマーじゃなくて叩く部分が樹脂で出来ているやつですね。
鉄製だと傷ついてしまうので。

と、思いきや10mmに10.5mmをハメるのは中々しんどいんで鉄製もちょっと使いました・・・。
まぁめっちゃガッチリハマったんで結果オーライで。

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全部ハメた状態がこちら。
どーでもいいけど、なんかこの状態のヘッドのネックたまに売ってますよね。

ってことでこっからペグを取り付けていきます。

ペグ

設置

ヘッドの裏側からペグをひとまずハメます。

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とりあえず設置して、ビスも何もつけてない状態です。
その状態で定規などで揃えて、穴を空ける位置にペンでしるしをつけていきます。

この時、ヘッド表を机に当てちゃうとペグが浮いちゃうので、フィンガーボードとヘッドの頂点になんでもいいんで挟んで机に置いた方がいいっす。

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この黒い点が、油性ペンでつけたしるしです。

穴あけ&ビス留め

黒い点に対して千枚通しで穴をゴリゴリ開けていきます。

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とりあえず軽くでやっても結構穴が開くんですが、千枚通しの柄に対してハンマーでトントン当てるとさらに掘れます。

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掘った穴に対してペグを取り付ける前に、ビスを回していってネジ穴をまず開けます。
開けきったところでネジを再度外します。

ペグ取り付け

ペグを改めて取り付けて、既に開けているビス穴に対しビスをハメていきます。

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以上で完成です。

どうでしょうか?

ちょっと曲がった感も無きにしもあらずですが中々綺麗に出来ました。

これロトマチック径からクルーソンの交換なんで、ブッシュでどうにか出来ますが、逆は穴の拡張が必要なんでもっと大変です。

ぶっちゃけ最初から、希望スペックのギター買えってことだな。

チャンチャン

posted by mugeek at 00:21 | Comment(0) | リペア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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