2018年10月30日

歪みエフェクターをもっと上手に使いこなす

あらすじ


前回歪みエフェクターの原理(GAIN)について記載させて頂きました。

さらりとおさらい

overdrive.jpg
図1

GAINツマミを回し出力許容容量を狭めてやることで音が割れる(歪む)ということですね。
波形の潰された音が連続的に発生してみんな大好きオーバードライブサウンドが出来るわけです。

歪みを増やすからプラス方向の挙動っぽいですが、実は減らしてるわけなのでマイナス方向の挙動なんですよね。
このイメージは意外と大事。

ミュージシャンのペダルボード

雑誌やネット、今だとtwitterなんかで機材見せてくれたり、プロのペダルボードを目にする機会が多くなりました。
もう、機材オタクからしたらとてもありがたい。

そんでもってみんなやたら歪みエフェクター置いてないすか?

僕は真似して歪み2台3台並べて使ってたんですけど、実際ちゃんとした理屈を把握してなくて

「この2台のエフェクターが混ざってカッコイイイ!音がリッチや!」

なんて喜んでいたのですが、それぞれのエフェクターの質感が足される以上に実はちゃんと理由があったんですよね。

初段ブースターとか歪みの後段にブースターとかも同じ原理で、この使いこなしがキモ。

歪みの入力LEVEL

仮に1台のエフェクターでGAINを大きく回して、歪みを作ってみます。

hakei_dis.jpg
図2

するとどうでしょう、確かに歪み量(赤線の幅)は増えてますが実音(青の波線)が減ってしまってますよね。
歪ませすぎると芯がなくなるとか、音が細くなるとか言われてるのはこのせいなんですね。

そもそも一つの歪みエフェクターで、一定以上GAINを回したところで、ほとんど歪み量は増えず実音が削れていくだけなんですよね。

さて、では歪みエフェクターを2台繋いで、1台目の出力(LEVEL)を大きくし2台目のエフェクターへ流します。
(入力量が大きいということは最初の波形がそもそも大きいということです。)

shuturyoku.jpg
図3

するとどうでしょう
先程と歪み量(赤線の幅)があまり変わらないにも関わらず、実音がさっきよりも多いのが確認出来ると思います。
(分かりづらい方は図1と比べてみてください。入力ソース違いのGAIN量一緒です。)

こうすることで、歪みが深いけど原音や密度がギュッとした芯のある歪みサウンドが作れるわけです。

だから例えば歪みを2台繋いでた場合、もっと歪みが欲しいと感じてイジるツマミは、2台目のGAINではなく、1台目のLEVELツマミなんですよね。

1台目はクリーンブースターでも勿論オッケー。
もっとミドルをギュッとしたい!って場合は初段チューブスクリーマーにしたり、ハイもギラッとさせたいとかあればケンタウロス系にしたり、組み合わせでさらに音を追い込むわけですね。

プロが何故やたら歪みを繋ぐのか?
疑問に思った方は是非この記事を参照頂ければと思います。

それでは。
posted by mugeek at 22:00 | Comment(0) | エフェクター | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月10日

歪みエフェクターの原理について分かりやすく振り返る

歪みエフェクター


使ってますか?歪みエフェクター。

使わずして現代社会、情報化社会、コンクリートジャングルを生き抜くのは中々難しい気がします。

「男・・・いや、漢ならアン直だろッッ!」(どーーーん)

とか言う猛者もいるとは思いますが、アンプの歪みの仕組みも原理は一緒。
たまにはおさらいするのもいいと思いますよ。

難しい事はさておき、カラオケやスタジオのスピーカーが「バリッバリィッ!」って割れたことないですか?
基本はあれが歪みです。
スピーカーの再生能力以上にボリュームあげてるから割れてるんですよね。
風船を膨らませ続けると割れるのと一緒です。

歪みエフェクターやアンプのGAINツマミはそれを人為的にやっちゃおうというものです。
上の例で言うならば、風船を小さくすればもっと早く割れますよね?
風船のMAX容量を変えて小さくすることで割れ易くし、さっさと割ってしまおうというわけです。
これが歪みエフェクターやGAINのおおざっぱな原理です。

huusen.jpg

じゃあアンプで爆音出せば割れるじゃん

と、お思いになった方ズバリ正解。
過去の偉人達もそこから発想を得たのです。

しかしながら、風船のMAX容量、つまりスピーカーの最大再生音量に当たるわけですが
こりゃそんな爆音聴く方がつらい。
ってことで疑似的に最大再生音量を減らしてやれば小さいボリュームでも割れるよねってのが根本的な歪みエフェクターの考え方。
この疑似的に最大音量を減らす行為がGAINツマミに割り当てられています。
イメージは風船のサイズを縮めてるようなイメージで。

amp.jpg
図1

歪みエフェクターの原理

音と言うのは振動であり、視覚化すると波形になってますよね。

hakei.jpg
図2
※こんなようなやつ

苦手な人は苦手かもなんで、今回あまりよろしくはないのですが

hakei2.jpg
図3

局所的に見て行こうと思います。

冒頭で説明した通り、風船を小さくするように音の許容出力最大値を小さくしてあげれば(GAINつまみをひねれば)音は割れるわけなので

hakei3.jpg
図4
この赤色で塗った部分以上は出力できません。
この場合、上記の棒の図(図1)と違うのが、こちらは波形ですので赤線より飛びぬけた部分は無いものとなります。

こんな感じ.jpg
図5
こんな感じ。

どの部分が歪み量であるかは、赤線の幅(長さ)となっています。
これが連続的に発生することで
overdrive.jpg
図6

音の波形がこのような状態になり、歪みサウンドは生まれています。

今回LEVELツマミに関しては除外して、あくまでGAINツマミの動作のみ記載しております。
原理だけで言えば上記のことがメインです。

LEVELツマミもまた奥が深いです。
それはまた次回。
posted by mugeek at 02:10 | Comment(0) | エフェクター | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月09日

オペアンプICとディスクリート回路

アナログエフェクター


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アナログのエフェクターの回路構成には基本的に
・ICオペアンプ
・ディスクリート

上記2種類で回路を構成しています。

このどちらが優れている論争は未だ絶えず行われていますね。

BOSSの「OD-1」の回路がオペアンプICに対し、「OD-2」は「OD-1」をディスクリート回路でモデリングしたという話があります。
で、結局世間ではOD-2は売れたものの、現代において値段が高騰しているのはOD-1ですね。

実際の音がどうなのかと言うと、
OD-1は温かみがあって雑味もあるんだけどなんだか太い、但しノイズも出るし音が塊のよう。
OD-2はサラッとしていて分離感が良くノイズが少ない、但し太さ温かみはOD-1に劣る。
この2台の差が回路による音の差を分かりやすく表している気がします。

オペアンプIC

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ICって何よって思いますが、ICとは集積回路のことです。
さらに集積回路って何よって思いますが、細かい横文字に拒否反応を示すギタリストに分かりやすく言うと
オペアンプICとはカレー粉です!
カレー粉を自分で作ろうとするとスパイスやハーブ、を最初から炒めないと作れませんね?
集積回路で言うとトランジスタやコンデンサというスパイス&ハーブを炒め済みなのです。
それをギュっとコンパクトに使いやすくまとめたものが市販のカレー粉です。

本来、ICとは「良く使う機能」「バラで作ると大きくなるもの」を一個にまとめたものをさします。
その為使いやすくコンパクトになっているのです。

玄人がよく「これは〇〇のオペアンプで・・・」とか「この時代のTS808は〇〇のオペアンプで良い!」とか言ってますけど
「カレーはバーモンドが最強だろ!」
「いやいやいや、エスビーこそ至高・・・ッ!」
とか言ってるのと同じことです。(え?違う?)

そして同じカレー粉使ったからと言ってすべての家庭で違う味を出しますからね。
同じオペアンプ使ったって各メーカーの音は違いますよね。
この辺がオペアンプICで作られたエフェクターです。

ディスクリート回路

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上記の比較ですから、対してはもうお分かりかと思います。

そう

ディスクリート回路は1からスパイス&ハーブを炒めます!

ディスクリートとは日本語で「分離」を意味します。
メリットは一つ一つのパーツをこだわって選定出来ることです。
デメリットは集積していないので、完成品が大きくなりがちです。

ミキシングエンジニアが鉄板で使う、ハードコンプやEQのオールドのNeveやAPIはディスクリート回路です。

制作者自身で回路を組み上げていく作り方なので、無駄が少なく、音色の傾向としては原音に対して忠実に味を付けていくものになります。

スパイス&ハーブを徹底的にこだわりぬいたカレー屋のカレーが高くなるように、基本的にはディスクリート回路設計は高級になりがちです。

だからといって必ずしもディスクリート設計が高音質かと言うと、確かに高音質にはしやすく、オーディオ的な目線で見れば高音質です。
現にミキシングやマスタリングでは何十年も重宝されているわけですし、入力された音色ソースを壊さないという点でみても高音質です。

ただし、高音質が正解かと言うと必ずしもそういうわけではありません。
ギタリストの良い音、アンサンブルにとっての良い音、それはまた違うからです。

原音がちょっと痩せたり、なんか雑味が足されて良い倍音感になったり、ローがちょっと削れたり、または膨らんだり
エフェクター使ってみて感じたことがあると思います。
それらが絶妙に絡み合ってギタリストの良い音が決まる為、本日でもオペアンプICで作られたアナログエフェクターは重宝されているのです。
posted by mugeek at 02:28 | Comment(0) | エフェクター | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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