2018年09月24日

1975年 Greco TE-350 Telecaster 改 マツモク製 SPACEY SOUNDS

Greco TE-350


今回は自分の私物をさらしたいと思います。
意外と当時の楽器って情報ソースの絶対数が少ないなぁって思うので備忘録として。
オリジナルからだいぶ改造しちゃったんで、情報としてはあまり参考にはならないかもしれないですが良かったらご参照ください。

20180715_141518.jpg

TE-350ってことで当時の楽器は値段がまんま品番ですよね。
これは当時定価¥35,000円の品。

20180715_141524.jpg

ヘッドには「SPACEY SOUNDS」の文字。

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ネックプレートにはMATUMOKUと書いてありますね。
マツモクについて詳しく知りたい方は以前書いたこちらの記事を良かったらどうぞ。

この時代のマツモクのシリアルは、アルファベットの次の二桁が年号となっています。
このギターのシリアルは『K750171』
ってことで、1975年製らしいです。

75年だとすると、以前書いた『1975年のギターの定価って現代だといくら?』から現代価値に換算して約¥63,700円と算定出来ます。

1975年のカタログに記載されている情報によりますと

spec

・ピックアップ:ワイドレンジマイク
・ボディ:カバ
・ネック:メイプル
・指板:メイプル


と記載されてました。

ギターのボディでカバって言うと非常に珍しいのですが、今の時代で言うとバーチ材ってやつですね。
主にドラムやカホンなんかで使用されている木材で、ギターでは珍しい。

Gibsonの2013年に発売されたLes Paul Zoot Suiticonというモデルなんかはバーチ材らしいです。


………


とは言え、ここまで書いておいてなんですが
カタログの記載を真に受けていいかどうかも怪しいんですよね。

この時代のカタログは、信ぴょう性が薄いです。

しかも75年製は75年製(製造)で間違いないんですけど、75年のカタログにSPACEY SOUNDSってヘッドに書いてないんですよね。


ということで、この時代のGrecoはピックアップにもシリアルがあるので、それを見てみようと思う。
ピックアップは製造月まで分かりやすいのです。

幸いピックアップは交換済みで元のピックアップ取り外し済み。
そのシリアルがこちら

20180427_213144.jpg

シリアルナンバー『15X11』となっております。
一桁目が管理番号というやつで【1】または【2】しかないらしいです。
この管理番号については謎。
モデルが高かったりマツモクじゃなくてフジゲンだったりで分かれてるという説もありますが不明。
分かる方教えて下さい(^_^;)

さて、一桁目を除き二桁目以降の4桁で製造年月を確認できます。


シリアル見方:管理番号
:ここの5は1975年の5
:ここは月を示します。Xは特殊で11月を示します。
(1月から10月までは1~0で記載されますが【11月=X】【12月=・】と特殊)
11:最後の二桁は日付。ここでは11日


ということで、1975年11月11日に製造されたものであることがわかります。

丁度1976年からSPACEY SOUNDSというシリーズが始まっていることはカタログから確認出来ているのですが、このギターは1976年に店頭に並んでもおかしくない製造日付ですよね。

この時代のは作られてるものの統一性がないのでその辺があやふやですね。。。

一応1976年のカタログを見たらピックガードがそっくりなんですよね。
おそらくは1975年製造で1976年発売説が濃厚な気がします。

ちなみに1976年のカタログだとボディが「ホワイトアッシュ」って書いてあるんですよね。
ホワイトアッシュということはこの時代においてセン。アッシュを謳うセンなので、鬼センですね。
(この時代のアッシュという記載がなぜセンなのかはこちら)

同じく75年製使っている方の参考になればと思います。

ところで、このピックアップ見てください。
20180427_213253.jpg

ピックアップ小さいの分かります?
75年じゃまだまだコピーとしての精度が甘かったことが感じられますね。

それにフロントピックアップがネックから遠いんですよ。

20180715_141534.jpg

フェンダー社のテレキャスはもっとネックにピックアップが近いです。

当時カタログの写真から模倣してたそうなのでね、弦が裏通しでもなかったんですよ。

ということでリペアショップで穴開けてもらいました。

20180715_141553.jpg

改造したところ

ここからは、ほぼ自分のメモ

ピックアップとブリッジを変えました。

20180715_141537.jpg


◆ブリッジ
・GOTOH GTC-201

◆ピックアップ
・フロント:Fender TwistedTele
・リア:Seymour Duncan STL-1


◆回路
・Sonic プリミティヴ・サーキットfor TEL style インチサイズPC-T01


※ブリッジを変えて気付いたのが、ネックポケットにネックを深く埋め込んで作られたものみたいで、ブリッジプレートの厚みのせいで弦高が高くなっちゃうんですよね。
その為、シムを挟んで弦高を下げてます。


※あと穴開けた際につけてもらったブッシュ
・Fender VINTAGE-STYLE TELECASTER STRING FERRULES

リペア工賃も含めて6万くらいは手を加えた形になっております。
おかげで凄い良い仕上がりになった気がします。

飽きたら3万くらいで放出します。←
posted by mugeek at 12:00 | Comment(0) | ジャパンビンテージ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月20日

1975年のギターの定価って現代だといくら?

時代とお金


昔のギターの情報とかを調べていると
「初任給1か月分」の値段だなんて言われてたりします。

お金の水準を正確に比較することは難しいのですが、ある一つの基準で推測することが出来ます。
企業物価指数と消費者物価指数というものが各年に対して割り振られてますので、それを基準にだいたいの参考として算出出来ます。

ギターの値段というのは購入者の目線での話ですので、ここでは消費者物価指数から算出とします。

なお平成に入るとほとんど物価指数は変わらないことと、あくまでジャパンビンテージという点から1970〜1988年の範囲だけ記載。

1970〜1988年の消費者物価指数


消費者物価指数(総合)
1970年577.9
1971年613.7
1972年647.8
1973年724.1
1974年877.8
1975年985.3
1976年1079.9
1977年1170.5
1978年1227.7
1979年1274.0
1980年1364.6
1981年1428.7
1982年1472.4
1983年1503.8
1984年1542.0
1985年1578.8
1986年1593.0
1987年1599.3
1988年1615.1

2014年の消費者物価指数になりますが「1791.2」となっております。

ここで我が家にあるGrecoのTE-350を例にして計算してみようと思います。
このギターは1975年製で当時¥35,000円です。

1791.2(2014年)÷985.3(1975年)=約1.82倍

これを当時定価にかけます。

¥35,000×1.82倍=約¥63,700円

つまり現代に換算すると¥63,700円と算出出来ます。

当時価格×1791.2÷対象年度の消費者指数=推定現代価格

自分のジャパンビンテージの現代価値が知りたい方はご活用下さい。
posted by mugeek at 03:27 | Comment(0) | ジャパンビンテージ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月09日

ジャパンビンテージとの付き合い方

オススメのジャパンビンテージ取扱い


ギターのボディ材


これまでジャパンビンテージについて記載してきましたが、やはり特に優秀かつ重要視出来るのが日本の木工技術においてです。
そしてまだ資源に余裕のある時代ですので、贅沢な製作がされてます。
現在安価なギターで「バスウッド」を使用したギターが多いですが、昔の国産ギターにおいてはほぼほぼ「セン」を使用しております。

とは言え一つ覚えてもらいたいのが、決して「バスウッド」自体は悪い木材ではございません。
上質なバスウッドはハイエンドクラスのギターでも使われております。

そして「セン」もまた鳴りが悪いなんてことは言われておりますが、これもまた粗悪な国産製が量産されてしまったことから出た話だと思ってます。
実際の答えは「NO」で、優秀なセンボディのギターもまた沢山あります。

特に価値観として【安い=悪い】【高い=良い】というものがありがちですが
勿論それもあながち間違ってない価値観です。

しかし、安くて美味いものを誰しも食べたことがあると思います。
加えて安価な食材を使っても優秀なシェフの料理は総じて値段があがります。

ギターも同じで、人件費としての技術料が加味されているという点があります。

ハイエンドクラスのギターの価格というものは、優秀なビルダーと高価な木材が使われているのは間違いないのですが、原価計算上ギターの値段というのは曖昧なものです。

その上で選択する木材はケースバイケースであって、自分が望む音の指針に合わせて選ぶべきです。
その中で1970年台後半からのセンは、しっかりギター形状に合わせたものが存在します。

ピックアップや回路など

では電気系統はどうなのか?

これは個人的な意見ですが現代の方が主にピックアップに関して優秀です。

勿論枯れた音、というのは経年で生まれますので一概には言い切れません。
枯れた音はアルニコ等のマグネットが経年により磁力が弱まり生まれるものです。
ちなみにセラミックでは生まれません。

しかしながら現代のビンテージを模倣したピックアップは非常に優秀です。
さすがに同じとまではいきませんが、ジャパンビンテージのソレと比べると格段に上だと思います。

木工技術単体で言えば技術力は今も昔に負けておりませんが、「木」単体は当時の時間をかけた乾燥と経年により鳴りを備えた分、昔の物の方が優秀と言えます。

さて現代のギターはと言うと、勿論優秀なビルダーが作ったものを除き、機械乾燥から2週間〜3ヶ月の経過を果たした木材を使用してます。
つまりジャパンビンテージのボディに対し現代のピックアップを乗せ替えることで、理論上は理想的な配分になることがおわかりかと思います。

実際に僕個人は持っているギターにピックアップを載せ替えたものを使っています。

ジャパンビンテージ系のギターを弾いたことがある方はなんとなく伝わると思いますが、全体的にペケペケしてる印象です。

ソロトーンなどの抜けはとてもいいのですが、丸みの帯びた音というか、ローミッドの部分に関していささか弱いように感じてます。
そこを補う意味でも電気回りの改造はオススメ出来る使用方法です。

ジャパンビンテージはもうとにかく弦を張りっぱなしにしても一切ネックが反りません。
ボディも1P〜3Pで良く出来ています。

その個体はまだまだ現役ですので、さらに寿命を伸ばしてあげる意味でも使える手法だと思います。

折角本家のピックアップがバラで買える時代なのでね、おそらく昔の工場が辿り着きたかったであろうところへ今なら辿り着けます。
本当の意味でのコピー品の完成を果たしてあげるのも面白いんじゃないかと思います。

じゃあもう本家買えばいいじゃんって思うかもしれません。

それは勿論その通りです。

ただ、これは間違いなく言えるのですが
現代の10万円程度の本家と比較するならば
ジャパンビンテージにピックアップを乗せ換えたものの方が音がいいです。

現代のUSAとて確実に3Pのものは減ってますしね。

折角なのでさらに金属パーツも換装するとさらにいいのですが、問題があってハマらないものが多数です。

これは規格によるもので昔のものが悪いということではありません。
いや、悪いのもあるんですけどね。

海外では長さをインチ、日本ではセンチで表現する文化も相まってこれが互換性を下げる更なる要因です。
ジャパンビンテージや国産のギターはここが最大のデメリットでもあります。

現存してるBacchusのようなメーカーであれば替えのパーツも手に入りやすいんですがね。

ジャパンビンテージは個人的に最高ですがいざと言う時の維持費がかかることがネックです。

ちなみにポッド回りや回路のハンダ付は非常に丁寧になされていて今見ても綺麗です。

というわけで個人的に使用している手法の紹介でした。
オリジナルのままで使いたいロマン派の方には申し訳ない話ですが、改造を経て今っぽい音が出せて十分戦える個体に出来ます。
ちょっとでも個性を出したい人、さりげないオシャレしたい人へ是非ともオススメします。
ラベル:tips
posted by mugeek at 11:00 | Comment(0) | ジャパンビンテージ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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