2025年05月28日

ピックで偲ぶ

ピックという名の信仰装置について


最初に憧れたベーシストは、馬場育三さんだった。
指も、ピックも、スラップも――全部やってて、しかも完全に使い分けてた。
「え、そんな人いるの?万能かよ」って思った。
いたし、かっこよかったし、今でもずっと心の師匠。

それはもう、RPGでいうところの「勇者なのに魔法も特化してる」みたいな感じで。
器用貧乏どころか、すべてがメインウェポン。
あれか全属性使えるやつか。チートか。
なるほど異世界転生ってあれのことか。

そんなわけで当然、最初に買ったピックは馬場さんと同じティアドロップだった。
ありがたいことに、もうリットーミュージックの回し者かってレベルでベースマガジン出てくれてた。

情報も惜しむことなく提供してくれて。

んでさ、ベースマガジンって端から端まで読むじゃん?
そのうち、他の教義も目に入ってくる。禁書目録みたいに。

逆アングルピッキングという、異教の扉

ある日ふと、佐久間正英さんのインタビューが載っていた。
その中で逆アングルピッキングの話をしていた。
なんか急に高度な宗教の教義っぽく見える。

というか、それまでの間にも、多分JIROさんとかも仰ってたはず。
でもあんまピンときてなかった。

それとよく載ってたのが、佐久間チルドレンの人時さんとか、ピック弾きの凄腕プレーヤーたち。
どれもこれも、三味線かってくらいバッチンバッチン。
それ、もはや弾いてるっていうか召喚。打撃と呪術のハイブリッド。

馬場さんは順アングルで、しかもサークルピッキング気味で、
「ギタリストみたいな右手だな〜」と思ってたけど、
佐久間さん一派の人たちは、弦に対して「逆」に振りぬく。

確かにアップピッキングの粒立ちが全然違う。

それがめちゃくちゃかっこよかった。
裏口から入ったはずが、気づいたら本堂にいた、みたいな。

スラップはスラップでまた別の話

スラップは、これもまた馬場さんの教則ビデオから入って、
その後、王道のようにレッチリにどっぷり。
親指バッチンバッチン。ほぼ武器。

ココバットなんて、もはや手の側面でバッチンバッチン。
手刀?鉄槌?スラップってこんなに暴力的でいいのか?と思った。

でもその後、カリガリに出会ってしまって。
「え、なにその親指、反り立つ壁……?俺にはSASUKEしかない?」って、スラップに出会った。
夜の中で囁くような、スラップの静謐さ。
「叩く」と「触れる」の中間地点。新しい扉が開いた気がした。

でも、結局、土台はずっと馬場さんだった

指でもピックでもスラップでも、
最初の“型”をくれたのは馬場さんで、
その万能型プレイスタイルが、今でも自分の基盤になってる。

その中で一つずつ“別の正解”を拾っていく感覚があった。

いうなればライブアライブの高原 日勝システム。

うん伝わらないね、わかります。

ピックは佐久間正英、それしかない

それで最終的にたどり着いたのが、
CLAYTON ( クレイトン ) / ULTEM URT 0.80である。

ウルテム素材の、地味な三角。
色も地味だし、持ってても「なんでこれ?」って聞かれるけど、
“佐久間さんが使ってるから”という理由に勝るものはない。

もう見れなくなっちゃったけど佐久間さんがBlogに載せてくれてた。

ジュディマリのTAKUYAが「佐久間さんは機材を間違えない」って言ってた。
あれだけで、人生の8割くらい決まった。
“正解の人”が選んだピックなら、それはもう答え。答えです。

他のピックに浮気したこともあるけど、
手の中に納まる感触、アタックの出方、減り方、
どれを取っても「こいつ、ずっとここにいたな?」ってなる。

だから、これはピックじゃなくて信仰です
ピックって小さい。
なくす。落とす。すぐ消える。
でも、1枚の裏に、どれだけの影響と記憶が詰まってるかって話なんですよ。

だから今でも、
弾くたびに「佐久間さん…」って一瞬心の中で唱えてる。
お守りかよ、って話なんだけど、
実際、たぶんそう。

というわけで、
わたしのピックはウルテムの三角で、0.8mmで、理由は「佐久間さん」だからです。
異論は認めます。採用はしません。

Clayton USA Ultem Gold 0.80mm 丸肩トライアングル ギターピック×12枚
Clayton USA Ultem Gold 0.80mm 丸肩トライアングル ギターピック×12枚

サウンドハウス
posted by mugeek at 21:00 | Comment(0) | 挨拶・雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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