髪を振り乱し、音をねじ伏せるようにチョーキングし、空間を割るようなディレイ。
ギターというより、もはや武器。
当然、僕も影響された。
気づいたら、ストラトに11-52の極太弦を張っていた。
気合いでねじ伏せる系。チョーキングは気合、フィンガリングは筋トレ。
結構しっかりめにネック握ってね、握力グリップかって。
今思えば、本業ベーシストだからたぶんガシッとしないと物足りなかったんだろうね。
あ、そういえば、SUGIZOも元々ベーシストじゃん。
まぁもう何シストかって言ったらナルシストだろうけど。
たぶんこの弦でちゃんとレギュラーチューニングでストラト弾いてた人、全国に100人くらいしかいないと思う。(当社比)
僕はそのうちの一人だった。
指とネックに支払った10年
この11-52、なんと10年近く張ってた。
音は最高。特に歪みのバッキングがすごく気持ちよかった。
ズンズンくる低音、パームミュートの迫力、
「これが音圧ってやつか…!」って毎回一人で納得してた。
でもね、ネックがね、泣いてた。
微妙に反ってくるの。
弦高も高くなってくるの。
弦交換のときに、ギターが「またこれかよ…」って顔するの。
楽器って生き物なんだなって思った。
思いたくなかったけど。
チョーキング vs 人間
とにかく、チョーキングがつらい。
「1音上げる」って言うけど、その1音に人生かける感じ。
指が弦に乗らず、弦が指をねじ返してくる。
筋肉は育ったけど、曲は進まなかった。
でも、その音はやっぱり気持ちよかった。
「俺、今、戦ってるな…」って音が出る。
楽器と、音と、何より自分の指と戦ってる。
それがギターだと思ってた。
僕はそういう音が好きだった。
でも、録音してミックスすると思う。
ミックスで削る→あれ、9-42で良くない?
録音してミックスして、EQかけて、
「ちょっとローが被るな〜」って下を削って、
結果的に出てきた音を聴いたとき、
「これ…10-46....なんなら9-42でもよくないか…?」ってなった。
誰が何ゲージ使ってるかなんて、だいたい音源だけ聴いてもわかんないよね。
9-42のほうが指は動くし、チョーキングもできるし、ネックも無言でいてくれる。
音作りで太くできる。
それでいいんじゃないかって気づいた。
10年かけて。
あと、婆ちゃん言ってた。竿よりアンプだって。
あ、嘘です。言ってたのBz松本さんだった。
チキンライスでいいや。
今は、9-42で静かに生きている
というわけで、今は9-42。
普通のやつ。Fenderが出荷時に張ってるやつ。
世界がそれで回ってるなら、僕もそれでいこう。
もちろんSUGIZOは今でも好きだし、太い弦を張って戦ってた自分も嫌いじゃない。
でも、肘とネックに優しくして生きることにした。
なるほど、SDGsってこのことだったんだね。
チョーキングが軽い。フィンガリングが滑らか。
ネックが静かにしてる。
ギターがちょっと「ありがとな」って顔してる。
それで十分じゃないかと思う。

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ちなみに全然10-46でもいい。
ジョンフルシアンテ好きだし。