Fender Japanブランド誕生
ブランド誕生と銘打っておりますが、1997年までのFender Japanはフジケン経営のフェンダー・ジャパン株式会社でした。1997年からはフェンダー・ジャパン株式会社は消失しておりますので、完全なブランド名となりました。
さて実際どのような経緯かと言うと、フェンダー・ジャパン株式会社がなくなりフジゲンが商標も含め米フェンダーに返却しておりますので日本国内でロゴが使用できません。
フェンダー・ジャパン株式会社の筆頭株主であった神田商会は、その後も運営しようと画策し米フェンダーからライセンスをレンタルすることでブランドとしての「Fender Japan」を運営開始しました。
その頃からフジゲンは、今でこそ当たり前の販売方法になってしまいましたが、いわゆる中抜きの直営に移行したため神田商会からの仕事はありません。
おそらくですがバブル崩壊後、フェンダー・ジャパン株式会社を売却したフジゲンは利益を得る為に直営にしたのではなかろうかと思います。
そこで1997年以前のFender Japanと違い神田商会は東海楽器や寺田楽器に木工の依頼をし、自社工場のダイナ工場で組み立てるという手法に切り替えました。
その為この頃からシリアルは「Crafted in Japan」という文字に切り替わりました。
噂では2000年台以降に中国で木工処理したものをダイナ楽器で組み立てた説もありますが、真偽のほどが定かではありません。
製造販売の表記として部品がどこのものであれ、最終製造が組立てであった以上ダイナは「Crafted in Japan」って記載せざるを得ないですからね。
元々ダイナ楽器には木工を処理する設備がなかったのですが、2007年に設備投資をしたため自社工場内でオールインワンの製造が可能になりました。
そのためまた2007年からは「MADE IN JAPAN」の刻印の入ったシリアルが流通するようになりました。
木工発注の注残分もあったためかこの時期の2007〜2008年のシリアルには「Crafted in Japan」と「MADE IN JAPAN」が混在してるレアな時期になります。
そんな流れで大きな変化もなく順風満帆に神田商会はFender Japanブランドを運営しておりました。
しかしながら米フェンダーは元々山野楽器を代理店として日本国内に輸出を行っておりましたが、2015年3月を持って代理店契約を打ち切り。
米フェンダーは日本法人のフェンダーミュージック株式会社を立ち上げます。
当然、日本国内への生産販売を自社運営に切り替えた米フェンダーは神田商会へのライセンスレンタルの契約も打ち切ります。
ここがレンタル運営のつらいところで貸さないって言われたらもう営業出来ない。
とは言え綺麗な離婚と想像出来ます。
ジャパン・エクスクルーシブ・シリーズ
結局のところブランド名は変わりましたが、製造ラインは変わらずダイナ楽器です。
ダイナ楽器は神田商会のグループ企業ではありますが独立した法人でもありますので、ダイナ楽器からしたら発注先が変わった程度の話ですね。
買収を経て親会社が変わるなんてのはビジネスにおいてよくある話です。
むしろ長年続いたFender Japanは以前も言いましたがFenderの冠を借りた別企業でした。
コピー品を許された日本製のFender系ギターがFender Japanブランドだったわけですが、2015年にしてようやく日本製のフェンダーというものが生まれたのです。
(1984〜1987年のフジゲン製のFender USAも正しく日本製のフェンダーでしたが)
いうなればユーザーからすればちゃんとFenderのギターを買える選択肢が増えたと言っていいでしょう。
さてそんなフェンダーミュージック株式会社
米フェンダーの子会社ではありますが、そんな人が運営をしているかというと
取締役 Edward Cole
取締役 James Bronen
取締役 Mark David Van Vleet
です。
誰やねんと思うと思いますが。
まず下の二人
James Bronen:米フェンダーの最高財務責任者
Mark David Van Vleet:欧フェンダー責任者
です。
マークさんは山野楽器と合同会社だった株式会社フェンダープロモーションジャパンという販促・営業を日本で担当していた会社の代表取締役です。
さて「Edward Cole」という方。
前職はラルフローレンジャパンの社長をやっておりました。
ブランド品の売り方を熟知した人間を投入したようです。
この方、札幌の日本語学校にも2年間通っていた為日本語は堪能です。
このブログでは珍しく未来に期待できる内容になっております。
日本法人を立ち上げたフェンダーはどのように展開していくのか。
ちなみに1年目はあまり目立ったことも起きず、楽器店との摩擦もあったりで幅広い運営はされませんでした。
今後柔軟になっていくと予想されますが果たしてどうなっていくのか?
この新しいシリーズの現物を実は僕個人も手に入れてなくてですね、今現在特に気になっているのがパーツの仕様などがインチ対応になっているかどうかですね。
今度サポート等に伺ってみようと思います。
分かり次第改めて追記します。