2018年02月02日

富士弦楽器製造

ジャパンビンテージの立役者


ジャパンビンテージという言葉を生んだと言っても過言ではない富士弦楽器製造。
今ではフジゲンって社名に変わってます。

FGNなんてロゴのギターを作ってますね。
さすがの品質のギターでめちゃくちゃ優秀です。

さてエレキブームのスタートは1964年くらいからと言われてますね。

以前の記事で中古と称した時期のギターはこの頃沢山発売されました。

エレキブームと発展途上の日本は相まってとにかく沢山の楽器工場が生まれました。
その数約80社

その中古と称したギターは粗悪品ばかりです。
だって本物を知らないコピー品だらけだもん。

なのでそれらの沢山の工場は勝手に潰れていきました。

そんな中切磋琢磨し、数少ない生き残りの工場
なんなら世界デビューすら果たした工場がフジゲンです。

富士弦楽器製造


ややこしい歴史は眠くなると思うので色々割愛して整理します。

まず覚えて貰いたいのが、フェンダー社のフェンダーブランドと違い、日本は社名とブランド名に違いが生まれがちです。

例えば
星野楽器のアイバニーズ
神田商会のグレコ
荒井貿易のアリアプロ2
など

1960年に創業したフジゲンは創業当時は自社で販売しておりました。
その頃、『星野』『神田』『荒井』の3社は楽器界の3強でした。

フジゲンはのちに上記の3社と業務提携を果たし

・国内の流通販売:神田,荒井
・海外の販売:星野

に委託しておりました。

その為、Greco,Ibanezのブランドをフジゲンが請け負っていました。
(荒井貿易の受注はアコギでした。)
つまるところ自社ブランドの反映よりも、ギターを作ることに注力したわけです。
面白いのが当時のグレコとアイバニーズのカタログを見ると同じモデルがあったりするんですよね。

1978年からのフジゲン製のグレコなんかは脂が乗り切ってて至高の一品です。

そんな1970年代後半〜1980年代前半。
まだフェンダージャパンなんてなかった頃ですね。

1977年ついにギブソンがキレます。

「パクってんじゃねえぞコラァ」

って

今大江戸温泉物語の件で揉めてますがまさにそんな感じ。

ただ大きな違いは、フジゲン製の性能が良すぎて本家の品質を上回り
ついにはシェアが拡大してきてしまったためギブソンさん焦ります。

この時フジゲンは日本国内でのギブソン関連商標などを全て持っていた為、ギブソンさん敗訴。

ギブソンさん商標がないと日本で売れません。
ということで

フジゲン「コピーモデル作らせてちょ」

ギブソンさん「わいらも日本で売りたいんや」

という相互の望みでフジゲンは商標をギブソンへ返却、ギブソンはそれなら損害賠償請求せんわってことで和解し丸く収めました。めでたしめでたし。

そういった経緯もあり、よく楽器通販とか見てほしいんだけどレスポールタイプとかレスポールモデルとか書いてるでしょ?

あれはレスポールってギブソンの商標だから、今は名乗れないんでそういった表現になってます。

そしてその頃、フェンダー社も日本のコピーモデルを駆逐しようと躍起になってます。
もう巨人レベルで駆逐しようとしてきます。

しかしフェンダーさんある時こう言います。

「ライセンスをレンタルさせてやるからフェンダージャパンでもやれや。売れたらマージンよこせよ」

その結果、山野楽器、神田楽器、フジゲンでフェンダージャパンを作ります。

これが1982年。

初期フェンダージャパンの性能にプレミアがついてるのはフジゲン製造のせいですね。

そしてその一年後1983年、ついにフジゲンは世界一の出荷本数になります。

日本の工場がだよ?
すごい話でしょ?

しまいにゃフェンダー本家のギターを1984〜1987年の期間製造していたこともあります。
(本家火災のため)
そしてそののち、フェンダー本家のコロナ工場はフジゲンの技術協力の元建設されました。

また1987年、新たな工場建設の為メキシコが建設。
その際フジゲンとフェンダーの共同出資で作られたものがフェンダーメキシコである。

翌1988年にギブソンとの共同ブランドのオービルというブランドを設立。


日本のみならず海外の生産にも沢山関わってきた歴史と技術力のあるフジゲン。
歴史の上でどれだけ重要な工場だったのか、何より今でも高品質なものを作っています。

ビンテージギターと呼ばれるギターってだいたい1960年台や1970年台のオールドのフェンダーやギブソンのことですよね。
狭義ではジャパンビンテージと呼ばれてもてはやされているギターは、オールドのフジゲンということになります。

フジゲンの製品の質は歴史上わかると思います。
そんなフジゲンのオールドがみんな欲しいのです。
その為、プレミアなんかがついて取引されています。

OEM生産という性質上、様々なメーカーのジャパンビンテージがありますが
メーカーが違えどフジゲンの工場から生まれたものだったりします。

そういう意味では、あまりメーカーだからどうとかは拘らずに製造工場で見る目ってのは非常に大事です。
アーティストが好きなのかレコード会社が好きなのか。
エイベックスだからって理由だけでエイベックスのアーティスト全部好きになるものではないですよね?

さて次回、フジゲンと双璧をなした兄弟といってもいいマツモク工場について。

でわでわ。
posted by mugeek at 21:00 | Comment(0) | ジャパンビンテージ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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