2018年01月29日

ジャパンビンテージの木材について

木材について


ジャパンビンテージの国産楽器では聞いたことのない木材があったりします。

1970年代〜1980年代において、まだ木材の輸入が今ほど盛んではなく国内の林業もまだまだ栄えてたことが一つの理由にあたります。

その中で当時のグレコやアリア、トーカイで使われていたセンという木材が有名だろう。

センってなんやねん

まさしくその通りでなんやねんです。
当時のカタログで「アッシュ」なんて書かれてるものはセンだと思っていいです。
その為、海外ではジャパニーズアッシュだなんて呼ばれてたりします。

そう呼ばれていたのは、センの木目がアッシュに似ている、ただそれだけの理由です。
ですのでアッシュとセンは実は別物です。

じゃあセンって良くないの?
ってなるかもですがそんなことはありません。
ギターのボディ材として、しっかりとした木材です。

アッシュと呼ばれるには木目以外にもちゃんと理由があって、センで一括にするからおかしいことになるのです。

鬼栓と糠栓

センには鬼栓と糠栓の2種類あって、それぞれオニセン、ヌカセンと読みます。

そう、それぞれまた別の性質を持ったセンでギターの音にも影響を与えます。

鬼栓

はい

まず鬼栓です。

これは、重量があり強度としても硬い部類になります。

強度があって重いという点
木目似てる
そのせいでアッシュ扱いされます。

実際のところアッシュに音も近いです。
ただし、強度は実際のホワイトアッシュと比べて落ちます。

ボディ強度は、音の明瞭度に対してかかってくる要素です。
その為、本物のホワイトアッシュよりもドンシャリのドンとシャリが抑えられミドルが出てくる木材です。

ここで思い出して欲しいのが、アッシュには代表的な2種類がいますね。

一番スタンダードなアッシュであるホワイトアッシュ
そしてスワンプアッシュ

スワンプアッシュは木目がホワイトアッシュと似ているものの、ホワイトアッシュの白さに比べるとしっかり木の色をしています。
そして何より軽い。
軽いということは当然強度も落ちますよね。

ではスワンプアッシュの音はどうなのか?

これも中域にピークがあります。
(ただし鬼栓と比べるとハイが出ます。)

強度で言うと

ホワイトアッシュ>スワンプアッシュ>鬼栓

の順番になります。
(つまるところ、明瞭度順)

つまりセンはアッシュの仲間の木ではないですが、スワンプアッシュには音の傾向は似ています。

ホワイトアッシュの見た目をした、スワンプアッシュの高域を削ったような音
それが鬼栓であり、ジャパニーズアッシュと呼ばれる所以です。

糠栓


はい。

ヌカセンです。

これこそまさしくまじでアッシュではない。

アッシュに似た見た目の何か。

糠栓は鬼栓と比較して軽量です。
そして強度も下がります。

その為、鬼栓よりも更に音が柔らかくなり、つまるところハイが削れ中域低域にピークが来つつ比較的フラットに聴こえるような音になりオールマイティです。

なんかに似てると思いません?

そう、アルダーに近い。

さすがにアルダーと一緒とまではいきませんが、方向としては同じベクトルを向いた音です。

狭義で言えば、センもアルダーもアッシュもバスウッドも【アッシュ系】という括りでクラフトマンに扱われてますので、このアッシュ系は重量と強度の差がEQのように機能して音を決めてる部分もあります。

見分け方

残念ながらカタログ上センはセンとしか書いてません。

実際に持って確かめるしか方法はないです。

ストラトで言えば鬼栓が4〜5s、糠栓が3〜4sくらいでしょうか。

ですのでオークションサイトなんかで買う場合はそこで重量を質問するのも手ですが、4.1kgとかだと微妙なので確実な方法では残念ながらないです。

ストラトとテレキャス

個人的な趣向ですが、ストラトは糠栓、テレキャスは鬼栓が好みです。

つまりストラトはアルダー、テレキャスはアッシュ、なんていうような鉄板のアレです。

テレキャスのハイが嫌いな人って意外に少なくないですが、センはそこが馴染んでてピーキーにまらず個人的には好きなボディ材です。

カタログについて

メーカーがセンを、アッシュだアルダーだって記載したカタログを発行してた時代もあって、当時のカタログはあんまり信じちゃいけません。

若い子は信じられないかもですが、元々日本はコピー品大国です。

中国のコピー商品を避難する風潮ありますけど、日本に正直その資格はないぞ、元はうちらも同じアジアらしいコピー大国やぞ、と言いたい。

インドネシアでたまにフェンダーの偽物とか売ってます。
それらはインドネシアで生産されたものですが
フェンダーのロゴも入ってて、MADE IN USAなんかも入ってたりします。
ボディ材もアルダーとか書いてますが本当にアルダーかどうかもわかりません。

もう自分の目を信じるしかない状態です。

日本には今広告の表記などに正確性が求められてて安心ですが
当時の日本も今のアジア諸国と変わらず広告媒体の信憑性はありません。

例えば売ってるギターに

ボディ:アルダー
ネック:メイプル
ピックアップ:セイモアダンカン○○

なんて書いてあったらそうなんだと思っちゃうでしょ?

でも本当にそうかどうかは分からない。

そこでですね、だいぶカタログに信憑性が出て来るのが1978,9年くらいからでこの辺りになるとちゃんとセンとか書かれ始めます。

個人的な狙い目はこの辺だと思いますし、それ以上前のものはいわゆる中古の粗悪品であることが多いです。

何故なら昔は日本の国産メーカーですら本物のギターを持っておらず、カタログの写真から見様見真似で作っていた時期があります。
もうギターの形をした何かでしかないです。

その頃の物をジャパンビンテージと呼ぶにはちょっと難しいなと思います。

長くなりましたが次は工場について

でわでわ
posted by mugeek at 21:14 | Comment(0) | ジャパンビンテージ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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