ラッカーは薄くて音が爆鳴りだぜ、ヒャッホオオオオオ!!!って声が昔からよく聞かれますね。
でも、Gibson社がラッカー塗装にこだわり続けている中で、ある時期からFender社は上位機種も含めポリウレタン塗装に移行しているわけで
メリット・デメリットを含めると、一概にどちらが良いとは判断しにくいのです。
朝はパン派か、お米派か、みたいなもんじゃないのかなぁ
ラッカー塗装
いわずもがな、塗装が薄いんですよね。
んで、完全硬化することはなくて、分かりやすく言えば塗装が生きてるっていうといいのかな。
ラッカーにはシンナーが含まれていて、それが永続的に揮発し続けるっていう
乾かすって作業で言えば、洗濯物と大差なくて
とにかく100年かかっても完全には乾かないのがラッカー
その辺はややこしいのでスルーして頂いて、とりあえず完全硬化しないってことが重要で
空気の通り道があるんですよね。
結果、木材が外気の影響を受けます。
ってことで、木材が成長を続けるなんて言いますね。
ただ、完全に乾かない以上、皮膜はとても柔らかく傷に弱い
そして材は生き続けているので、経年劣化は激しく
しわっしわのおじいちゃんのようなシワが将来発生します。
勿論色味も変わります。
ポリウレタン塗装
まず、塗装が厚いなんて言われますが
同じポリ塗装のポリエステル塗装が分厚い塗装であって
ポリウレタンは一概にはそうとも言えないです。
ポリウレタンの塗装もラッカーと同じで
薄く塗る⇒乾かす⇒薄く塗る
を繰り返して吹き付けるのですね。
一度に多量に吹き付けると硬化不良を起こすんですよ。
なので、実は厚塗りが得意ではないのです。
ラッカー塗装より薄いポリウレタン塗装も沢山あります。
とはいえ、ウレタンにも厚い塗装されているものがあるのも事実で
これは研磨不足が理由だったりします。
ポリウレタンは完全硬化するので、傷にとても強く、外気の影響も受けません。
その為、メンテナンスに神経質にならず済むのは助かりますね。
また、塗装に時間がかかるとはいえ、やはりラッカーよりは早いのでコストが抑えられます。
ラッカー塗装神話
ラッカー塗装が素晴らしいと称賛される理由に
ヴィンテージギターがラッカー塗装であったことが言えます。
1950年代はそもそも塗料がラッカーしかなかったので、ラッカーにならざるを得ないんですがね。
で、当時のギターってとにかく木材が良いんですよね。
材質がいいので音が良い。
結果、ヴィンテージギターは音が良いので
ヴィンテージで用いられている仕様は素晴らしい=ラッカー塗装は素晴らしい
なんて思考にたどり着いてしまうわけですね。
元の木がとんでもなく良いというヴィンテージギターの重要な要素を無視して、ラッカー至上神話が生まれたところはあるんですね。
そんな中、材の質の悪さをポリウレタン塗装で隠すメーカーものちに出てきてしまい、よりラッカーの印象は良くなりポリウレタンの印象は悪くなっていったという歴史的背景があるわけです。
ただ、そういった意味で言えば、オールドラッカーに勝るものはないのです。
実際どっちがいいのよ
ラッカーは木材が呼吸を続けるので、木材が成長を続けるという点ではラッカーに勝るものはありません。
いくら扱いが難しいといえどね。
ただ、現代の木材を使用して、どこまで成長するのかは甚だ疑問ではありますが。
また、艶っぽい光沢のないラッカーらしい見た目はラッカーにしかないですよね。
個人的には、こと日本、またアジアで使うのであれば、ポリウレタン一択です。
これだけ湿度も高く一年を通して気候が変動する国においては、外気の影響を受けやすいラッカーは気難しいところがあります。
逆にアメリカでは、ラッカー塗装のギターを慎重に扱ってない人も多く
人柄もそうですが、やはり気候が大きいですね。
イチローがメジャーリーグ行った際に、バットを調湿剤を入れたジュラルミンケースに入れて持ち運んでたんですね。
で、向こうのメジャーリーガー達は、「なんだそれはHAHAHA!!」ってなったわけです。
日本人のバッターは割と、その辺の扱いを慎重に行うのに対し、
向こうのバッターたちは、バットをそんな保管の仕方をしてなかったからですね。
というか、する必要がなかった、というのが正しいと言えます。
ラッカー塗装にも同じことが言えます。
同じ極薄塗装であれば、私はポリウレタンを日本では推していきたいですね。
⇒ポリウレタンとラッカー塗装の見分け方
⇒ギター・ベースのポリ塗装 ポリウレタン/ポリエステル