2025年06月11日

東京ドームに立つと信じてた同級生はまだ草むらでガッツポーズしてる

ちょくちょく、未来ある若者にDTM教える機会がある。
眩しい、肌がもう水をはじきそう。
僕はもうくじけそう。

よし、肌の観察は置いといて、音をちゃんと聴こう。

...あれ、なんか…こいつら、音いいな。

ベロシティがぬるいとか、ストリングスが寝てるとか、いろいろあるけど、
でも出音はもうまあまあそれっぽい。なんかそれだけで感心しちゃう。

偉そうに「こうするといいよ」とか言ってるけど、正直そのままブーメランで自分に刺さってくる。

昔の俺、むしろ毎回怯えてた。「これ…大丈夫かな…聴かれたら死ぬかな…」って思いながらアップしてた。

先人には「ギターの音悪いよ」
と言われ
ピアノもなんか「ベロシティ調整が雑」
ストリングスは「エクスプレッションちゃんと書いてる?」
とか言われる始末。
え?なに?新しい筋トレの器具?

でも当時は全然わかってなかった。
なんなら「NIRVANA好きだし」とか意味の分かんないこと言ってた。
でもその頃にはインターネットでの叱責慣れもあって、意外と落ち込まずに素直に人の意見聞けた。

誰かから「音ちょっと軽いね」って言われれば
「軽いって何!?物理!?感情!?」って混乱しながら、EQとか倍音とか理解してった。

そうやってちょっとずつ“マシな音”になっていった。
耳も、心も、たぶんその都度EQされていったんだと思う。

だからピアノ音源これにしなさい。ストリングスの書き方はこうです。
全部従った。
僕が犬なら渋谷で飼い主待ってる。

で、未来ある若者に「ちょっとベロシティが…」とか言ってると、
顔が「俺…だめなんすね…」ってなってくる。
こっちも「いや!そうじゃない!ベロシティは君の人格じゃない!」って必死になる。

でも通じない。ベロシティで人格否定された気持ちになるらしい。
これ、世界一センシティブなMIDIパラメータだよ。





そういえば昔、ニコニコ動画に曲上げてた時期があって。
投稿するたびにちょっとずつ音が良くなってた。
というかなんか辛辣なコメントくるから、負けず嫌い発動して次からは言われたくなくてどんどんクオリティアップを目指してた。

1曲ごとにちょっとずつ音質がよくなっていくのが実感できた。
EQ、リバーブのルーティン、コンプ。
全部ちょっとずつ。

でもね、なかには音質が一向に変わらないまま20曲ぐらい投稿してる人もいた。
毎回「今回かなりいい出来です」って言ってたけど、
再生ボタン押すたびに「マジで!?どこ!?」ってなる。
音に対する自信と、実際の音の乖離。

今思えば、その人には辛辣なコメント来てなかったっぽい。
まさに駄サイクル。
知らない人はネムルバカへGO。

なんならそういう意味じゃyoutubeのコメ欄ってニコニコ動画に比べたら優しい。
良いことだけど、ニコニコの混沌(カオス....ノンノン....ケイオス)が僕を育ててくれたから、優しさが一概に全部良いとは言えない。

もう言ってることがコンプライアンス遅れの老害。
ツッコミで頭はたくの難しい時代らしい。
カミナリかわいそう。




そんなときに、「自己評価が高すぎる人」って記事読んで

「ダニング=クルーガー効果」について書いてあった。

あーはいはい、知ってる知ってる。
アンプでしょ?
hideがつかってたね、フリーも使ってたやつ!

「違う」

…違うの?


ダニングクルーガー効果(Dunning–Kruger effect)とは、能力の低い人や経験の浅い人が、自分の能力を正しく認識できず、自分を過大評価することです。

そのため、現実の評価と自己評価にズレが生じている状態になります。

これは、思い込みにより非合理的な認識をしてしまう「認知バイアス」と呼ばれる心理現象の一つです。

自己評価と現実評価のズレ:
能力が低い人が、自分の能力を正しく認識できず、自分を過大評価してしまう状態です。
認知バイアス:
根拠のない自信や、思い込みによって非合理的な判断をしてしまう心理現象です。
自己認識の重要性:
自身の能力を客観的に評価するメタ認知能力の欠如が原因です。
過大評価のデメリット:
周囲からの誤解を招いたり、業務に支障を及ぼしたりする可能性があります。
過小評価のデメリット:
自身の才能を見過ごしたり、成長を阻害したりする可能性があります。



僕もね、中学の時、東京ドームに立つって言ってた。
というか同級生にいっぱいいたんだよ。

「マジでいける気がする」って言ってたけど、
今思えば何が?なにが“いける”だったんだ?

でもやればやるほど差が浮き彫りになってくる。

で、久しぶりに会った地元の同級生は30歳になっても言ってた。

「...東京ドーム、立つから」

建てるの間違いでは?一瞬“建築関係の夢”かと思った。

いや、それが武道館・アリーナと言わずともデカバコでやってりゃ僕も何も言いませぬ。

その人、ずっと同じバンドのコピバンやってて、
解散もくそもないのにコピバンで解散ライブとかいってやって、再結成して、また同じバンドのコピバンやってた。
自己ループ型音楽人生。メトロノームより規則正しい。

オリジナルやってたときは対バン相手に「うちのバンド負けてない」とか「勝った」とか言ってた。

どう見てもコールド負け。

審判すらいなかった。もうグラウンドじゃなかった。なんか河川敷の草むらで一人でガッツポーズしてる感じ。

でも自信だけはある。もう訳がわからない。

あ、これがダニング=クルーガー。




一方で、バイタリティのある人は本当に強かった。
逆に音質なんかしらねえ良い曲を早く出すんだってタイプもいた。
飲み会にネタを仕込んでくる。打ち上げでも企画力がある。
そのままスターになった。

バンド時代の先輩もそう。
彼らは、頼みごともうまい。
人の善意に全乗っかりできる力がある。
ズルい。でも、それが才能だったりする。

根底にはちゃんとした自信があった。
ちゃんと裏付けがあった。あと、笑顔が強かった。なんかもう物理的に明るかった。

才能じゃない。バイタリティだ。




カンブリア宮殿で見たゴディバの社長(フランス人)、弓道やってるらしい。
理由が「年取ると叱られなくなるから、できない場に身を置くため」って言ってて、

なんかもう、わかりすぎて正座した。

わかる。
こちとら今、誰にも怒られてない。

パン1で生活してる。




そんなこんなで、今日も後輩にアドバイス。
「ベロシティ、もうちょっと神経質になろうか」って。

でも、たぶん今この文書いてる自分が一番神経質になってる。
主にコンプラ。

最近の社会厳しすぎるって。

表現の自由ってなんだっけ。

部下に注意もできねぇ。



とりあえず、耳よりまず心をEQしたい。

いやコンプか。

あ、なんだ、コンプライアンスのコンプってコンプレッサーか。

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2025年06月04日

SUGIZOに憧れて太い弦張ってたけど、9-42に落ち着いた話

SUGIZOが弾いてる映像を見たとき、「あ、ギターってこう弾くもんなんだ」と思った。
髪を振り乱し、音をねじ伏せるようにチョーキングし、空間を割るようなディレイ。
ギターというより、もはや武器。
当然、僕も影響された。

気づいたら、ストラトに11-52の極太弦を張っていた。
気合いでねじ伏せる系。チョーキングは気合、フィンガリングは筋トレ。

結構しっかりめにネック握ってね、握力グリップかって。
今思えば、本業ベーシストだからたぶんガシッとしないと物足りなかったんだろうね。

あ、そういえば、SUGIZOも元々ベーシストじゃん。
まぁもう何シストかって言ったらナルシストだろうけど。

たぶんこの弦でちゃんとレギュラーチューニングでストラト弾いてた人、全国に100人くらいしかいないと思う。(当社比)
僕はそのうちの一人だった。

指とネックに支払った10年

この11-52、なんと10年近く張ってた。
音は最高。特に歪みのバッキングがすごく気持ちよかった。
ズンズンくる低音、パームミュートの迫力、
「これが音圧ってやつか…!」って毎回一人で納得してた。

でもね、ネックがね、泣いてた。
微妙に反ってくるの。
弦高も高くなってくるの。
弦交換のときに、ギターが「またこれかよ…」って顔するの。
楽器って生き物なんだなって思った。
思いたくなかったけど。

チョーキング vs 人間

とにかく、チョーキングがつらい。
「1音上げる」って言うけど、その1音に人生かける感じ。
指が弦に乗らず、弦が指をねじ返してくる。
筋肉は育ったけど、曲は進まなかった。

でも、その音はやっぱり気持ちよかった。
「俺、今、戦ってるな…」って音が出る。

楽器と、音と、何より自分の指と戦ってる。
それがギターだと思ってた。

僕はそういう音が好きだった。
でも、録音してミックスすると思う。

ミックスで削る→あれ、9-42で良くない?

録音してミックスして、EQかけて、
「ちょっとローが被るな〜」って下を削って、
結果的に出てきた音を聴いたとき、
「これ…10-46....なんなら9-42でもよくないか…?」ってなった。

誰が何ゲージ使ってるかなんて、だいたい音源だけ聴いてもわかんないよね。

9-42のほうが指は動くし、チョーキングもできるし、ネックも無言でいてくれる。
音作りで太くできる。
それでいいんじゃないかって気づいた。
10年かけて。

あと、婆ちゃん言ってた。竿よりアンプだって。
あ、嘘です。言ってたのBz松本さんだった。

チキンライスでいいや。

今は、9-42で静かに生きている

というわけで、今は9-42。
普通のやつ。Fenderが出荷時に張ってるやつ。
世界がそれで回ってるなら、僕もそれでいこう。

もちろんSUGIZOは今でも好きだし、太い弦を張って戦ってた自分も嫌いじゃない。
でも、肘とネックに優しくして生きることにした。
なるほど、SDGsってこのことだったんだね。

チョーキングが軽い。フィンガリングが滑らか。
ネックが静かにしてる。
ギターがちょっと「ありがとな」って顔してる。
それで十分じゃないかと思う。

Elixir エリクサー エレキギター弦 NANOWEB Super Light .009-.042 #12002 【国内正規品】
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ちなみに全然10-46でもいい。
ジョンフルシアンテ好きだし。

サウンドハウス
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2025年05月28日

ピックで偲ぶ

ピックという名の信仰装置について


最初に憧れたベーシストは、馬場育三さんだった。
指も、ピックも、スラップも――全部やってて、しかも完全に使い分けてた。
「え、そんな人いるの?万能かよ」って思った。
いたし、かっこよかったし、今でもずっと心の師匠。

それはもう、RPGでいうところの「勇者なのに魔法も特化してる」みたいな感じで。
器用貧乏どころか、すべてがメインウェポン。
あれか全属性使えるやつか。チートか。
なるほど異世界転生ってあれのことか。

そんなわけで当然、最初に買ったピックは馬場さんと同じティアドロップだった。
ありがたいことに、もうリットーミュージックの回し者かってレベルでベースマガジン出てくれてた。

情報も惜しむことなく提供してくれて。

んでさ、ベースマガジンって端から端まで読むじゃん?
そのうち、他の教義も目に入ってくる。禁書目録みたいに。

逆アングルピッキングという、異教の扉

ある日ふと、佐久間正英さんのインタビューが載っていた。
その中で逆アングルピッキングの話をしていた。
なんか急に高度な宗教の教義っぽく見える。

というか、それまでの間にも、多分JIROさんとかも仰ってたはず。
でもあんまピンときてなかった。

それとよく載ってたのが、佐久間チルドレンの人時さんとか、ピック弾きの凄腕プレーヤーたち。
どれもこれも、三味線かってくらいバッチンバッチン。
それ、もはや弾いてるっていうか召喚。打撃と呪術のハイブリッド。

馬場さんは順アングルで、しかもサークルピッキング気味で、
「ギタリストみたいな右手だな〜」と思ってたけど、
佐久間さん一派の人たちは、弦に対して「逆」に振りぬく。

確かにアップピッキングの粒立ちが全然違う。

それがめちゃくちゃかっこよかった。
裏口から入ったはずが、気づいたら本堂にいた、みたいな。

スラップはスラップでまた別の話

スラップは、これもまた馬場さんの教則ビデオから入って、
その後、王道のようにレッチリにどっぷり。
親指バッチンバッチン。ほぼ武器。

ココバットなんて、もはや手の側面でバッチンバッチン。
手刀?鉄槌?スラップってこんなに暴力的でいいのか?と思った。

でもその後、カリガリに出会ってしまって。
「え、なにその親指、反り立つ壁……?俺にはSASUKEしかない?」って、スラップに出会った。
夜の中で囁くような、スラップの静謐さ。
「叩く」と「触れる」の中間地点。新しい扉が開いた気がした。

でも、結局、土台はずっと馬場さんだった

指でもピックでもスラップでも、
最初の“型”をくれたのは馬場さんで、
その万能型プレイスタイルが、今でも自分の基盤になってる。

その中で一つずつ“別の正解”を拾っていく感覚があった。

いうなればライブアライブの高原 日勝システム。

うん伝わらないね、わかります。

ピックは佐久間正英、それしかない

それで最終的にたどり着いたのが、
CLAYTON ( クレイトン ) / ULTEM URT 0.80である。

ウルテム素材の、地味な三角。
色も地味だし、持ってても「なんでこれ?」って聞かれるけど、
“佐久間さんが使ってるから”という理由に勝るものはない。

もう見れなくなっちゃったけど佐久間さんがBlogに載せてくれてた。

ジュディマリのTAKUYAが「佐久間さんは機材を間違えない」って言ってた。
あれだけで、人生の8割くらい決まった。
“正解の人”が選んだピックなら、それはもう答え。答えです。

他のピックに浮気したこともあるけど、
手の中に納まる感触、アタックの出方、減り方、
どれを取っても「こいつ、ずっとここにいたな?」ってなる。

だから、これはピックじゃなくて信仰です
ピックって小さい。
なくす。落とす。すぐ消える。
でも、1枚の裏に、どれだけの影響と記憶が詰まってるかって話なんですよ。

だから今でも、
弾くたびに「佐久間さん…」って一瞬心の中で唱えてる。
お守りかよ、って話なんだけど、
実際、たぶんそう。

というわけで、
わたしのピックはウルテムの三角で、0.8mmで、理由は「佐久間さん」だからです。
異論は認めます。採用はしません。

Clayton USA Ultem Gold 0.80mm 丸肩トライアングル ギターピック×12枚
Clayton USA Ultem Gold 0.80mm 丸肩トライアングル ギターピック×12枚

サウンドハウス
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